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「cakes」閉鎖後に記事はどうなる? noteに聞いた

» 2022年05月26日 19時00分 公開
[山川晶之ITmedia]

 noteが展開する有料オンラインメディア「cakes」のサービス終了が5月25日に発表された。7月31日にサイトの更新を終了し、8月31日をもってサイトを閉鎖する。その後は、すべての記事が閲覧できなくなるとしている。

 閲覧できなくなる理由について同社は「有料サービスをクローズするため」と回答。一方で、記事データについては当面内部で保持し、クリエイターからの問い合わせがあり次第、要望を聞きながら原稿データを渡していくという。譲渡方法については検討中としている。

 すでに、cakesに掲載していたコンテンツを移植する動きも始まっている。2016年3月に連載を開始した漫画「左ききのエレン」は、7月31日までcakesで連載し、今後は「note」に移行すると作者のかっぴー氏が明かしている。掲載済みの約300話もnoteに移植予定。その他「HTMLをもらって無料公開する」と予告するクリエイターもいる。

 なお、cakesに掲載された記事をnoteにエクスポートする機能などはなく、原稿データの再公開や公開先についてはクリエイターに一任されている。ただし、noteや他の媒体に再公開する場合は同社がサポートするという。

note「閲覧の機会をなるべく無くさない」

 Webメディアの閉鎖で記事が閲覧できなくなることについては、その媒体が築いてきた文化や資料性などを一気に失うことになるため、Twitter上でもたびたび議論が起こっている。直近では、Engadget日本版とTechCrunch Japanがクローズしており、すでに過去の記事にアクセスできない。5月31日にはBLOGOS、7月31日にはスマートニュース傘下の「SlowNews」も閉鎖予定だ。

 記事の閲覧終了についてnoteは「私たちとしても、大変じくじたる思いがありますが、有料のメディアサービスを終了するということで、このような選択肢にならざるを得ませんでした」「サービス終了後、コンテンツをクリエイターのみなさまにお渡ししたり、noteや他の場所での公開をサポートすることを通じて、閲覧の機会をなるべく無くさずにいられれば」と説明している。

 cakesのコンテンツの移植先については、同社のnoteが最有力とみられる。ただし、noteには記事のエクスポート機能が設けられておらず、万が一サービスが終了した場合、cakesと同様の問題が起こる可能性がある。同社は、2021年4月にnoteへのエクスポート機能の実装を検討中と明かしたが、改めて確認したところ「クリエイターの方に必要な機能として検討中」(note)に回答をとどめている。

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