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IEサポート終了まで残り1週間、準備は終わった? IPAの注意喚起を改めてチェック

» 2022年06月09日 17時51分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 米Microsoftが提供するWebブラウザ「Internet Explorer」(IE)のサポート終了まで残り1週間となった。6月16日(日本時間)のサポート終了以降、IEを起動しようとしても後継Webブラウザである「Microsoft Edge」が立ち上がる仕様に変わる。そのため、IEのみで動作するコンテンツの利用者や提供者は、他ブラウザへの移行やコンテンツの改修などへの対応が必要になる。

 サポートが終了するソフトウェアは「Internet Explorer 11 デスクトップアプリケーション(SAC)」と「Windows 10 デスクトップ SKU(20H2 以降)」「Windows 10 IoT(20H2 以降)」の3つ。

 情報処理推進機構(IPA)では、IEサポート終了の影響を受ける対象者として「IEコンテンツの利用者」(一般ユーザー、組織の従業員)と「IEコンテンツの提供者」(組織の情報システム担当部門、Webサービス事業者)の2種類に分類し、それぞれに以下の対応を求めている。

IEサポート終了に向けた移行計画例

閲覧には「IEモード」、自社組織や顧客向けサイトの仕様確認も忘れずに

 サポート終了後にIEコンテンツを利用する場合、Edgeの「IEモード」を使うことでコンテンツを閲覧できる。IEモードを起動するには、Edgeのアドレスバーに「edge://settings/defaultbrowser」と入力し、「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可」を許可後、Edgeを再起動することで利用できる。

Edgeの「IEモード」

 Microsoftは、IEモードのサポートは29年までは続けると発表している。その後については、同社からサポート終了日の1年前には告知する予定。

 また組織の従業員が利用している場合、組織の環境や方針などによりIEモードを利用できないように設定されている可能性がある。情報システム担当部門などにIEモードの利用可否を確認するように推奨している。

 IEコンテンツを自組織内で従業員向け、もしくは顧客向けにWebサイトで提供している場合には、IEコンテンツを終了するか、IE以外のWebブラウザでも閲覧できるように改修する必要がある。もし改修が間に合わない場合、従業員や顧客に向けてIEモードを利用するように周知する必要がある。

IEサポート終了までに求められる対策例

なぜ、IEの起動ができなくなる? 「Windows XPの経験を基にしたのでは」

 なぜ、サポート終了後にはIEの起動ができなくなるのか。トレンドマイクロはWindows XPを例に挙げ「(サポートが終了したサービスでも)影響があまりにも大きいと緊急のアップデートを行わざるを得ないという過去の経験を基にした方針」と指摘している。

 Windows XPは14年4月にサポートが終了していたが、17年5月にはランサムウェア「WannaCry」が急激に拡散したことを受け「極めて異例の手段」として緊急アップデートを実施。その後、19年5月にも脆弱性の影響によりセキュリティパッチを提供するなどの対応をしていた。

 通常、サポート終了後であればセキュリティパッチなどを提供する必要はない。しかし脆弱性を突かれたPCが攻撃に使われた場合、その被害は大きくなると予想されるため「『ユーザーのセキュリティを守る』というより、『そのOSを利用された攻撃の被害を最小限に食い止める』ためにパッチを公開した」とトレンドマイクロは説明。

 IEの場合も同様のケースが起こることが想定され、対応に必要なリソースを考えた結果、「『代替ツールへの強制切り替え』という手法に至ったと考えられる」(トレンドマイクロ)と推測している。

トレンドマイクロの指摘

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