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「足を引っ張った」は誤解──KDDI派遣の幹部は「技術に精通」と金子総務相 SNSの言説に対し

» 2022年07月05日 15時30分 公開
[山川晶之ITmedia]

 金子恭之総務大臣は7月5日、臨時記者会見を開き、2日に発生したKDDIの大規模通信障害について「国民の日常生活や社会経済活動に必要不可欠な携帯電話サービスが2日以上にわたり利用困難になったことは改めて大変遺憾に思う」と述べ、「利用者への周知、広報については利用者目線で見て、両社が通信事業者としての責任を十分に果たしたとはいえない」との見解を示した。

7月5日の臨時記者会見にて

 KDDIの大規模通信障害は、2日の午前1時35分ごろに発生。スマートフォンだけでなく、物流、気象、銀行ATM、自動車のコネクテッドサービスなど、幅広い分野に影響を与えた。4日午後4時ごろには「ほぼ回復した」とのアナウンスを表明。実に62時間にわたる、KDDI史上最大規模の通信障害となった。完全復旧は5日夕方ごろとしている。

 金子総務相は、「今回の通信障害の影響の大きさや復旧作業が公表した後も、音声通話が利用しづらい状況が長時間継続したことなどを踏まえれば、利用者への周知広報の内容、手段、頻度、いずれにしても利用者の不安を解消するために工夫する余地があったのではと考えている」「今回の事案は、外部有識者で構成する電気通信事故検証会議などでしっかり検証を行い、適切な利用者への周知・広報のあり方について検討したい」としている。

 検証のポイントとして「設備をメンテナンスする際の事前準備の在り方、通信障害が発生した後の対応の在り方、利用者に対する周知広報の在り方、昨年のNTTドコモの通信障害を踏まえた教訓が十分に生かされていたかどうかが課題になると考えているが、詳細は今後検討したい」としている。法令上、事故発生から30日以内にKDDI、沖縄セルラーから正式な報告があるとのことで、それをもって今後の対策につなげるようだ。

 なお、総務省は事故発生後に総務審議官をKDDIに派遣している。この狙いについては「KDDIに対して、早期の復旧に向けて全力で取り組むとともに、利用者に対してはきめ細かい情報の周知・広報を丁寧に行うことを要請していた」「しかしながら、障害が発生してから長時間経過しても、事態の改善が見られず、今後の見通しも不透明で利用者の不安も高まっていたことから、事態の把握をタイムリーに行い、利用者への適切な周知・広報を促すため、総理からの指示を受け、幹部級かつ技術に精通している職員を派遣した」と明言。

 派遣した職員について「SNS上で『素人の官僚を送り込んで、逆に現場の足を引っ張ったのでは』という誤解もあるわけだが、技術に精通した職員を派遣した」と言及。混乱しているKDDIに対し、利用者にきめ細かい情報の周知・広報を実施すべきと助言したとしている。

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