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au通信障害、「デュアルSIM」を使えば大丈夫だった? スマホユーザーが考えたい有事への備え(1/2 ページ)

» 2022年07月05日 10時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 7月2日から4日にかけて起きたKDDIの大規模な通信障害。同社史上最大という今回の障害では、個人向け・法人向け問わず最大3915万回線が影響を受けたという。発生当初はTwitterなどでユーザーから困惑の声が続出。事態を回避しようと試行錯誤する人の声も相次いでいた。

 中でも話題になったのは。SIM(加入者識別モジュール)カードを2枚使い、1台のスマートフォンで2つの回線を使えるようにする「デュアルSIM」だ。片方の回線が使えなくなっても、もう片方が使えればトラブルに備えられるので、ユーザーが取れる障害対策として注目を浴びた。

photo SIMカード

 今回の障害は休日に起きたが、仮に平日だった場合、BYODのスマホが使えないといった問題につながり、仕事に支障が出る可能性もある。今後、KDDI以外の通信キャリアで類似のトラブルが起きないとも限らない。デュアルSIMなら、そんな事態への対策にもなるかもしれない。

そもそもSIMカードって何? 1枚じゃダメなの?

 そもそもSIMカードとは、キャリア事業者が提供する、契約者の情報を記録したチップのことだ。これをスマホなどに挿入することで、事業者がユーザーの情報を識別でき、電話やデータ通信が可能になる。

 スマホによっては、組み込み型のSIMカード「eSIM」を搭載しているものもある。eSIMに対応している場合、キャリア事業者はユーザーの契約情報などを遠隔操作で変更できる。この場合、ユーザーはSIMカードを手動で挿入せず、通信プランなどの利用を始められる。

photo iPhoneでeSIMを使うときの設定画面(Apple公式サイトから引用)

 キャリア事業者は基本的に、回線を1つ契約するごとに1枚のSIMカード(またはeSIM)を提供している。スマホの中には、SIMを2枚使えたり、物理的なSIMカードとeSIMを併用できたりするものもある。これを活用し、1台のスマホで2社の回線を使うのがデュアルSIMだ。

 例えばiPhoneはiPhone XS以降のモデルから物理的なSIMカードとeSIMの併用に対応。iPhone 13シリーズはeSIM同士でのデュアルSIMにも対応している。

節約や公私での使い分けにも デュアルSIMの利点

 このデュアルSIMには障害対策の他にもいくつか利点がある。例えば、携帯料金の節約につなげられる可能性だ。

 デュアルSIMを使う場合、2つの回線を契約することになるので、データ通信と音声通話をそれぞれ別々のプランで契約することが可能だ。データ通信と音声通話がセットになったプランを契約するより、2つのプランを組み合わせた方が安くなったり、通信の品質が良かったりする場合がある。

 他には、用途ごとに回線を使い分けられるメリットもある。例えば仕事はA社が提供する回線で、プライベートはB社の回線で──と使い分ければ、1台のスマホで2つの電話番号が使えるので、“2台持ち”の必要がなくなる。

 今回の障害なら、片方がKDDIの回線でも、もう片方がソフトバンクの「LINEMO」や、ドコモの「ahamo」などであれば、トラブルの影響を低減できた可能性がある。実際、Twitterでは障害の発生中に「デュアルSIMで助かった」などと投稿している人もいた。

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