木工製品というと、木という素材のイメージもあって、なんとなくカントリーというか、ナチュラリストというか、素朴というか、民芸品というか、そういったムードの製品しか作れないのではないかと思っていた。だから、ストーリオの名刺入れやペンケースを初めて見た時の衝撃は大きかったのだ。
木の板を小さい径で曲げる独自の技術を使った製品は、もちろん「木」であるという質感の魅力は保持したまま、デザイン的にはシャープで、塗装のカラーリングのセンスのよさもあって、他で見ることがないスタイリッシュな仕上がりになっている。
木製の名刺入れにはいろいろあるが、多くは箱形で、木の板が開く面白さを見せる、民芸品的なものが主流。だがストーリオの名刺入れは見た目からして違う。板を曲げて作られたその製品は、曲げた板のバネ性を利用して、留めているホックを外すと自動的に開くギミックが、まず珍しい。
しかも、折り曲げた板の間に名刺を入れる構造なので、従来の木製の名刺入れに比べて、収納量が圧倒的に多い。それでいて、シンプルな構造がそのままデザインになっているため、奇を衒(てら)った感じがなく、ユニークだけど自然にビジネスで使える形に収まっているのだ。
そのせいか、年に一度の展示会などで、受付に名刺を出す際、「あ、去年もその名刺入れでしたよね、気になっていたんです。どこで買えるんですか?」といったことを訊ねられたのは一度や二度ではない。そして、自動的に開く縦型の名刺入れとして、使い勝手も最高なのだ。
そんなストーリオだから、木工製品なのに、ほぼITガジェットともいうべき、「電子マネークリップ」なども作っている。
まだ、キャッシュレス対応ウォレットもあまり出ていない時期に出た製品で、手のひらに収まる絶妙の曲線を持つ木の板に付けられたクリップに、カードを3枚挟むことができる。
それだけのものなのだが、1枚はICカードを、後の2枚には良く使うカードを挟み込むと、カードは端を見せる形で重なって収納されて、何を挟んだかもすぐ分かるし、目的のカードを抜き出すのも簡単。そして、タッチで済む場合は、そのウォレットごとタッチするのだけど、この時の手の中での収まりと感触がとても良いのだ。
支払い時に何のカードをタッチしているかが見えないのも良くできている。そして、何といっても、「それは何?」としか言いようのない他には無い形と、スッキリしたデザインが木によって作られているというのが面白いのだ。
他にも、曲げ木のクッション性を利用した、心地よいパームレスト付きのマウスパッドや、無闇にスタイリッシュなデスクライトなど、従来の木工製品のイメージを覆す製品を次々と生み出している、そのストーリオが「ブックスタンド」を発売した。
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