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シリコンバレー企業の福利厚生動向とウェルビーイング補助シリコンバレーから見た風景(2/2 ページ)

» 2022年07月07日 11時17分 公開
[五島正浩ITmedia]
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ウェルビーイング補助について

 このような状況になり、私が勤める会社ではウェルビーイング向上のための補助が導入されました。ウェルビーイングは「幸福」とか「健康」を意味していて、健康増進、メンタルヘルス、マインドフルネスなど、日本でもいろいろな取り組みが行われているかと思います。

 補助は年間1000ドルまでとなっていて、かなり手厚いものです。年に一度レシートをまとめてシステムに申請すると、審査を経て支払われます。 残念ながら課税対象となるため4割近く引かれた額が支払われることになりますが仕方ないですね。

 同様のウェルビーイング補助を提供している会社は他にもありますが、ジムの会費等に対象を限定しているところが多いのではないでしょうか。私の勤務先がユニークなのは、対象にほぼ制限が無く、自分で考えて自由に決められるところです。一応ウェルビーイングの4分野(Physical、 Emotional、 Financial、Community)のどれかに当てはまることとなっていますが曖昧です。

 自分がウェルビーイングの向上に役立つと判断すれば、基本的にOKという運用です。Apple Watchを買う人が多いと聞きました。またエスプレッソマシンもOKでした。なお銃や武器、違法薬物、アルコールやタバコ等健康を害する物はダメと明記されています。さすがにこういうものを申請する人はいないと思いますが。

 ウェルビーイングといっても、何をすれば幸福・健康の向上ににつながるかは人それぞれ違います。誰かがこれと決められるものではないですよね。会社がそのことを理解していて、個々で考えて決めたものを尊重するスタンスはとても好感が持てます。

 シリコンバレーの企業ではダイバーシティー(多様性)の考え方が定着していて、人はそれぞれ異なることを前提に行動することが当たり前になっています。その考え方に沿った設計になっていると思いました。

では何を買ったのか?

 さてこの補助を何に使うか結構悩みました。改めてウェルビーイングとは何か調べてみたり、このプログラムの主旨をもう一度確認してみたり。これだけでウェルビーイングに対する意識が相当向上したと思います。

 今年は運動不足解消のためインドアサイクリング用のスマートトレーナーを購入することにしました。前から気になっていたバーチャルサイクリングのZwiftをやってみたかったので。

 最近はコロナ禍以前のように家から外に出て過ごすことに時間とお金を使うようになってきたのに、なぜ今さら自宅でインドアサイクリング? と思われるかもしれません。私の場合、自宅からのリモートワークがまだまだ続くことになったので、ここで在宅勤務の環境をリフレッシュしたいという思いもあります。

 今回は補助が使えるので奮発してTacx(Garmin系列)の上位機種のスマートトレーナーを購入することにしました。たまたまZwift.comで30%オフの1050ドルになっていたので、想定よりもかなり自己負担額を抑えることができ良い買い物になりました。

 実際にZwiftを使ってみると噂通りコースの設定などがよくできていますし、自分の乗り慣れたバイクが使えるのでリアルに近い体験ができて良いですね。ジムに行く必要がないので、リフレッシュしたい時などにすぐにスタートできる手軽さもすばらしい。効果の方はまだまだこれからですが、続けられそうな気がします。

 このウェルビーイング補助は、どう使うかを自分で考えて決められたので、かなり満足度の高いものになりました。また何に使ったのかを同僚と話すのも楽しかったりします。

photo 最近すっかり乗らなくなっていたグラベル用ロードバイクの後輪を取り外して装着
photo 手元にあったiPadにZwiftをインストールしてスマートトレーナーと接続

 今回はシリコンバレーの福利厚生の動向について紹介しました。シリコンバレーの企業は時代の変化に応じて新しいものを取り入れ変化していくのを好みます。今回紹介したものもすぐに変わっていきますし、新しいものも出てくるでしょう。面白いものを見つけたらまた紹介したいと思います。

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