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「漫画BANK」運営者が中国で摘発、日本円で約60万円の罰金 被害金額は2000億円超え

» 2022年07月14日 13時40分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 CODA(コンテンツ海外流通促進機構)は7月14日、「漫画BANK」など複数の海賊版サイトを運営していた男性1人が中国で摘発されたと発表した。情報ネットワーク伝達権保護条例違反として、日本円で約33万円(1万6409.52元)の犯罪収益没収と約60万円(3万元)の罰金が科せられた。日本人向けの海賊版漫画サイトの運営者が、海外で処分されるのは初という。

CODAが掲載した文書の一部

 被害を受けたKADOKAWA、講談社、集英社、小学館が漫画BANKが利用していた海外サーバなどの情報開示を米国裁判所に請求し、中国の重慶市に住む運営者を突き止めた。漫画村事件の捜査をした福岡県警も協力した。

 中国で行政処罰を下す際は「中国の公共の利益を侵害する」に該当するか否かが大きな焦点になるという。このためCODAは「(申立てが)受理そして処分に至るなどCODAのこれまでの行政申立ての中でも異例であり画期的な事例」と説明する。

 現地弁護士事務所によると、個人に対する処罰として罰金3万元は重いものという。しかし被害額と比べて処分が軽いと思われることから、出版社4社とCODAはこの侵害行為の全容解明のための情報収集と、出版社が受けた被害の回復手段についての検討を続ける。

 漫画BANKは、日本の漫画作品がストリーミング形式で読めた海賊版サイト。海賊版対策を進める業界団体ABJによると開設期間中(19年11月〜21年10月)の合計アクセス数は9億9370万、タダ読みの被害額はコミックス換算で2082億円相当に上るという。サイトは「サーバの維持費用の都合」を理由に21年11月に閉鎖している。

漫画BANK閉鎖時に掲載された文言

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