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「Nothing Phone (1)」レビュー “アグレッシブに光る”背面は意外と楽しい 使い勝手は?(2/2 ページ)

» 2022年07月16日 13時00分 公開
[山川晶之ITmedia]
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カメラはサイレント撮影が可能(だった)

 カメラは、今どきの機能は一通り入っている。広角カメラと超広角カメラはそれぞれ5000万画素で、センサーは前者がソニーIMX766、後者がサムスンJN1。IMX766は現行モデルだとXiaomi 12などでも採用されている。とはいっても通常モードは約1200万画素で撮影する。おそらくビニング処理を使うためだろう。例えば、Pixel 6などでも同じ処理が入っている。「ULTRA HD」モードで5000万画素での記録も可能だが、ポートレートモードやナイトモードは使えない。

 デジタルズームは、2倍までならシャープでキレがある(少しシャープすぎる気もするが)。おそらく、5000万画素をクロップして1200万画素を生成しているのだろう。なお、最大20倍までズーム可能だがさすがに画質はお察しの通り。ポートレートモードも一定程度のクオリティーを持つ。

photo (写真左)借りた時間が短くかつ雨天が続いたため拙い室内の作例で申し訳ない。広角カメラでの作例
(写真中央)2倍ズームで撮影した画像。5000万画素からクロップするのか、シャープな絵が撮れる
(写真右)ポートレートモードも一定水準の精度はあるようだ

 気になる点もあり、タップした被写体の明るさに応じて少し強めにAEが反応してしまう。スポット測光のような挙動だ。動画も4Kは30fpsのみと今どきのスマホとしては少々物足りない(被写体ブレが出がちだが手ブレ補正自体は結構効く)。少しびっくりしたのがシャッター音で、オンオフできる点だ。

 レビュー時は、国内のSIM(ワイモバイル)を挿した状態でもサイレントで撮影できたものの、記事掲載後にシャッター音が強制的に出るようになったことをお知らせしておきたい。SIMを抜いて再起動すると再びシャッター音をオフにできるため、SIMを提供するロケーションに応じて挙動を変えるようだ。

当初はワイモバイルのSIMカードを挿してもシャッター音は鳴らなかったものの、レビュー記事の掲載後にシャッター音の項目が消え、強制的に鳴るようになった

 OSはAndroid 12ベースの「Nothing OS」を採用するが、触った限りは素のAndroidに近く、ぱっと見の違いは、Nothing特有ドットベースのウィジェットぐらいだ。設定画面では、Glyphインターフェース用の項目と、他社のデバイスとコネクトする「EXPERIMENTAL FEATURES」にアクセスできる。

 同社はオープンなデバイスエコシステムの構築を掲げており、他社デバイスとの接続性を重視している。現時点では、AirPodsのバッテリーステータスの取得やテスラ車とのコネクトを実現。手元に実車がないため確認できないものの、実機ではテスラ車への接続項目が表示されていた。

photo (写真左)「Glyphインターフェース」の設定画面
(写真中央)他社のデバイスと接続する「EXPERIMENTAL FEATURES」
(写真右)ローンチ当初はテスラ車と接続可能

 SoCはSnapdragon 778G+、メモリ8GB、ストレージ256GBとスペックはミドルクラス。「Geekbench 5」のスコアはシングルコアで818、マルチコアで2874。参考までに、価格帯とサイズが近いPixel 6の場合、手元の端末ではシングルコアは1037、マルチコアは2838だった。

 ディスプレイはHDR10+、10bit表示などを一通りサポートする。リフレッシュレートは120Hzに対応しており、動作は滑らか。SoCのパワーも十分なので普段使いで特に引っ掛かることはなさそうだった。デュアルSIMに対応しており、SIMカードトレイは表裏にnano SIMを取り付けられるようになっている。急速充電やワイヤレス充電、リバース充電もサポートする。

SIMトレイは裏表2枚挿入できる仕様

初のスマホとして完成度は上々 しかし・・・・・・

 独特な外観からイロモノ扱いを受けそうなNothing Phone (1)だが、意外と普通のスマートフォンとして使える印象を持った。価格はミドルクラスとしては高めの6万9800円だが、デザイン性が高いスマホとしてはリーズナブルに感じる。スペックも肝心なところは手堅くまとまっており、SoCもミドルクラスのため、上位モデルと比べて発熱や省電力性能でメリットがある。

 あと、Glyphインターフェースは純粋に見てて楽しい。Carl Pei氏が「スマホで使われていないデッドスペースで、どれぐらいスマホを面白くできるかを考えた」とコメントしていたが、発表時の記事の反応を見るに意外と多くの人に受け入れられそうだと感じた。もちろん余計な機能は付けずにコスパの良いスマホが欲しいというニーズが大半であることに異論はない。

 気になる点もある。ミドルクラスSoCは発熱で有利としたものの、スケルトン仕様のため排熱にどれほど影響があるのかは真夏の日に使い込まないと分からない部分も多い(テスト時は雨の日が続き気温が上がらなかった)。防水がIP53までの対応なのは、スケルトン仕様を採用した制約もあるだろうが、もう一声ほしいところ。その他、スクリーンショット時はかなり耳障りな音が出てしまう。

 また、FeliCaには非対応のためおサイフケータイやSuicaなどの交通系ICは利用できないのはメインスマホとして使いにくい部分でもある。この辺のローカライズに関しては、コストとして本体価格に乗っかってくるため、日本がどれほど成長余地のある市場か判別がつかないと対応しづらい面もあるだろう。

 ただし、Nothing Technologyにとって日本は重視する市場の一つに変わりはない。最初のプロダクト、完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear (1)」は、高いデザイン性から日本でも話題となり、同社サイトへのアクセス数は日本がトップ5にランクイン。リテーラーも順調に増えたため、当初、日本で売る予定のなかったNothing Phone (1)の投入を決めたという。本モデルの売れ行き次第では、次作はよりしっかりとしたローカライズが期待できるかもしれない。

【追記:2022年7月17日午後18時 シャッター音に関する挙動が記事掲載後に変わったため本文を一部追記・修正しました】

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