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過小評価されがちなビジョナリー、ビル・ゲイツの慧眼について話そうか(1/4 ページ)

» 2022年07月22日 07時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 現在はトップの座を譲ったものの、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏は長らく世界で最も多くの資産を保有する人物だった。その彼が華美なスタイルを好まなかったことは、周囲の人間なら誰もが知っていることだろう。

photo ビル・ゲイツ氏

 Microsoftが伸び盛りだった1990年代には、ライバルの革新的なテクノロジーの普及・発展を妨げる悪の帝国を率いる帝王ビル・ゲイツとして、いわれのない批判を浴びることもあったゲイツ氏だが、その質実剛健(見方によっては華やかさに欠ける)スタイルに、どこか無機質なものを感じた人も多かったのかもしれない。

 しかし、90年代前半からテクノロジー業界を見続けてきた過去を振り返ってみると、ゲイツ氏ほど未来を見通していた人物はいない。同じ時代には故人となったスティーブ・ジョブズ氏をはじめ、大きな足跡を残した偉大な起業家がたくさん存在したが、未来を見通す力という意味ではダントツだと思う。

 そんなゲイツ氏が200億ドルもの私財を慈善団体に移転させると発表したのは、健康に関する世界規模の不平等をなくすための活動を行うためだ。

photo Bill & Melinda Foundation

 彼は貧しい国のトイレ事情を改善し、病気を治療するための医薬品の入手性を高め、貧しい地域での電力供給を安定させ、そして最新のテーマとして誰もが安心して接種できる安価で手軽なワクチンの開発と普及に取り組んでいる。

 そしておそらく、ゲイツ氏はその目的を達成するか、あるいは達成への道筋を作るに違いない。なぜそう思うかといえば、それはゲイツ氏がテクノロジーの観点から常に正しい方向を向き続け、方向がズレていることに気づくと、すぐさまその修正を行える人物だったからだ。

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