ITmedia NEWS > 社会とIT >

Apple Watchで九死に一生を得た? デジタル防災に欠かせないスマートウォッチのヘルスケア機能デジタル防災を始めよう(3/3 ページ)

» 2022年07月28日 09時55分 公開
[戸津弘貴ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

他のスマートウォッチやリストデバイスのヘルスケア機能は?

 スマートウォッチなどでは、心拍数はほとんどのデバイスで計測できるが、心電図に関しては計測が行えるものは意外と少ない。まとめサイトなどで「心電図が計測できるスマートウォッチ」として紹介されているものの多くは心拍数の計測のみが行える機種だったりするので、混同して認識されている印象がある。

photo ヘルスケア機能を有するスマートウォッチの数々

 とはいえ、Fitbitでも心房細動の検出が行えるようになるという話もあり、今後対応するデバイスが増えてくる可能性もある。

 また、Amazfitに搭載されている健康評価システム「PAI」などのように、独自のアルゴリズムで心拍数やその他の活動量などから健康指標を提示するものもある。ストレス測定機能なども搭載されており、心房細動の原因の一つとも言われるストレス負荷の計測も期待できそうだ。

photo Amazfit T-REX2のPAI

Apple Watchの課題、それはバッテリー持続時間

 いろいろなセンシングや通知など、高機能ゆえにバッテリー持続時間が短いのがApple Watchなどスマートウォッチの課題だ。スマートウォッチには3日程度持つものもあるが、Apple Watchはせいぜい1.5日ほどで、宿泊を伴う出張、キャンプなどのアウトドア活動には充電器がないと実用的ではない。

photo Apple Watch専用のモバイルバッテリーが発売されるほどバッテリー持続時間の短さは深刻な問題

 スマートウォッチ(ヘルスケアリストデバイス)の中、HUAWEI BandやXiaomi Smart Band、Fitbitトラッカーには1週間から2週間程度バッテリーが持続するモデルもあり、先述のAmazfitでは2週間以上、最近発表されたT-REX2は24日間のバッテリー持続時間を実現している。

photo キャンプロケの朝、バッテリー切れのApple Watchと残量余裕のAmazfit T-REX2

 どのメーカー、機種においても、使い方、用途に応じて様々なモデルが用意されているとはいえ、どのモデルも2週間とは言わずともせめて1週間程度はバッテリー持続時間があってほしい。

 充電を頻繁にすることを気にしないアーリーアダプター層や意識の高いユーザーならいざ知らず、健康などのために着用したいというライト層には、就寝時には外して充電という人も多い。実際、筆者は就寝時にメインのApple Watchを充電し、1つ前に使用していた機種を就寝時に着用するという運用をしている。

 もう1つの課題は、取得されたデータ(数値)の精度だ。この記事を執筆するにあたり、心電図測定が可能で、バッテリー持続時間があるモデルがあるかどうか探してみたが、あるにはあるが、有名(メジャー)なメーカーでないなど、その測定値を信用して良いか(判断の根拠となるか)という疑問も残った。

 Apple Watchは、日本では医療機器として認可されてないが、米国ではFDAの認可を得ている。日本でも機能が有効化され計測データが集まったことで一定の評価もされるようになったと思う。

注:厚生労働省より「『家庭用心電計プログラム』及び『家庭用心拍数モニタプログラム』の適正使用について」という通達が出されている。

 そういう意味では、スマートウォッチなどヘルスケアリストデバイスはまだまだこれからのガジェット、発展途上にあるのだろう。一方で普及の過程ではあるが、不整脈(心房細動など)や転倒などの検知により一命を取り留めた例も報告され不慮の死を避けることができるようになってきている。

 バッテリー持続時間や価格など、課題はあるがメリットも希望もあるスマートウォッチ、今後も継続してウォッチしてしていきたい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.