ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

「おわびのバラマキ」から卒業すべき? KDDI通信障害の「200円返金」を考える(1/3 ページ)

» 2022年08月02日 15時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

 KDDIは、7月2日から4日にかけて発生した大規模障害の「おわび」として、3589万人の契約者に対し、総額73億円の返金を行うと発表した。総額は大きなものだが、一人当たりにすると額は200円となる。

KDDIの高橋誠社長(高ははしごだか)

 この額は妥当なものなのだろうか? そもそも、約款外の「おわび」は必要なものなのだろうか? ここで少し改めて考えてみよう。

約款上の返金は「音声通話サービスのみの契約者」に限定

 KDDIの説明によれば、今回の障害は復旧までに61時間25分を要した、同社創設以来最長のものだったという。

 その間、障害が長く発生していたのは主に「音声通話」だった。トラブルが発生した7月2日には復旧を見据えて通信総量の制限も行われた関係で、一時データ通信が行いづらくなったが、その時間は意外と短く、KDDI側として「データは流れていた」とする。とはいうものの、7月2日の間は「アンテナピクトは表示されないがデータ通信だけはできた」といった状況も見受けられ、影響を受けた人がいたのは事実だろう。

 KDDIとしての「約款に伴う返金」と「おわびとしての返金」の金額は、こうした障害状況を根拠として設定されている。

 まず約款(携帯電話契約時にKDDIと定めた取り決め)に伴う返金について。

 KDDIの約款では、「24時間以上連続して通信サービスを利用できなかった、または利用できない状態と同程度の状態だった」場合が返金対象となる。前述のように、「24時間以上連続して」トラブルが起きていたのは音声通話サービス(VoLTE)の方なので、約款に従い、「音声通話サービスのみを契約していた」回線に対して返金する。

 対象者は271万人であり、今回の障害を受けた人々の中では少ない。あくまで音声通話サービスのみの契約者が対象だからだ。返金額は対象者が契約中の料金プランの基本料金に基づいて、2日分相当を返金する。障害時間は61時間25分で、丸3日(72時間)には達していない。なので、約款返金額は「2日」となる。

 KDDIによれば、この返金額が「一人平均で、1日あたり約52円」だという。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.