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» 2022年08月04日 16時39分 公開

コロナ禍で「学生時代に力を入れたこと」に変化 入学時からオンライン生活、就活に苦慮 YouTubeやSNS運用アピールも

コロナ禍の影響で採用面接の定番質問「学生時代に力を入れたことは?」の回答に困る学生が増えているという。ネオキャリアが4日に実施した学生向けのトークセッションでは悩む学生たちの姿が浮き彫りになった。

[松浦立樹,ITmedia]

 長引くコロナ禍でオンライン中心の学生生活を余儀なくされた世代が就職活動を始める時期になり、面接の定番ともいえる質問「学生時代に力を入れたことは?」の回答に変化が起きている。人材紹介事業を手掛けるネオキャリア(東京都新宿区)が4日に実施した就活をテーマにしたトークセッションでは、悩める学生と企業担当者の姿が浮き彫りになった。

 ネオキャリアが23年卒業予定の大学生・大学院生242人を対象に実施した調査では、44.6%が「コロナ禍は“ガクチカ”に悪影響を及ぼした」と回答した。ガクチカは「学生時代に力を入れたことは?」の略で、就職活動をする学生や企業の担当者の間で一般化しているという。

44.6%が「コロナ禍は“ガクチカ”に悪影響を及ぼした」と回答

 23年卒業予定の大学生は2年生の時から、24年に卒業予定の学生は入学時からオンライン中心の学生生活を強いられてきた。このため「自信を持ってアピールできるガクチカがある」と答えたのは76%で、「選考を有利に進めるためにガクチカに事実と異なる内容を盛り込んだことがある」と答えた学生も25.6%いた。

「自信を持ってアピールできるガクチカがある」(左)と「選考を有利に進めるためにガクチカに事実と異なる内容を盛り込んだことがある」(右)の調査結果

 ガクチカで話した内容を聞くと、最も多かったのは「アルバイト」(61.2%)、次点で「ゼミや研究などの学業」(39.7%)、「サークル・バイト」(39.3%)が入った。この結果について同社は「コロナ禍で十分に満足のいく学生生活を送れていないことが影響している」と説明している。

ガクチカで話した内容

 またオンライン中心の生活になったことで、自身のYouTubeでの活動やサークルでのSNS運用事例などをガクチカとしてアピールする学生も現れているという。しかし、トークセッションに参加した採用アナリストの谷出正直さんは「学生がこのようなアピールを行っても聞き手の企業が、それの何が大変なのか理解できない場合がある」と指摘する。

採用アナリストの谷出正直さん

 「インスタのフォロワー数が増えたといわれても、採用企業側は『それがなんなの?』というように体験に共感できない場合があり、人事の解釈次第で選考の可否が変わることがある」と谷出さん。一方、23年卒予定の学生からは「集団面接でYouTube活動をアピールする人がいたが、比較対象を用意して説明するなど伝えやすい工夫をしていた」との意見も上がった。

 「本来、学生の価値観を引き出すためにガクチカを聞くのであって、コロナ禍で学生生活が大きく変わったのは誰もが知っているはず。そのためガクチカを聞いても『動けなかった』と学生が答えるのは想定できる。それが今、本当に最適な質問なのかは企業側にも検討の余地はあるのでは」(谷出さん)

卒業式はなくなり、入学式はオンライン。迫る24年卒の就活 対策は?

 トークセッションでは、高校の卒業式がなくなり、入学時からオンライン中心の生活を余儀なくされたであろう24年卒学生の就活にも言及。生活の一部がオンラインに変わり、誰もが試行錯誤した時代に新生活を始めたのは、他の世代にはない大きな特徴という。

 同社の学生向け事業に携わる橋本健一さんは「ガクチカにより悩む学生が増えるのではないかと予測できるが、一方で自身の就活事情を予測し早めに行動に移す学生もいる。そのため、学生の中で(就活に積極的か否かの)二極化に拍車が掛かるのではないかと予測できる」と話した。

学生向け事業に携わる橋本健一さん

 また、先輩や友人との関係が希薄な傾向なのも、この世代の特徴であるという。原因はオンラインでのコミュニケーションが中心になったことや、サークルやバイトに参加できず先輩などとの関係を築きにくかったため。従来あった人とのつながりによる就活情報も得にくく、企業側もいままで同じやり方では苦戦を強いられると予想されるという。

 さらに、谷出さんは「コロナ禍で多くの業界がITに接続し、IT人材を獲得したい企業は増えている」と指摘。同じ大卒のくくりの中でも、採用したい人材の優先順位がより顕著になっているという。学生側も「自分を見てほしい」と強く考える人が増えており、企業・学生の双方で「個別最適化」が進むと予測している。

 「コロナ禍に入り、内定辞退率は上がっている。企業側も選考フローを一律にするのではなく、個別に面談を設けるなど工夫をして志望度を上げないと、学生が内定を承諾しない可能性は高くなる。説明会や選考も、対象を絞って行うことが効果的なのでは」(谷出さん)と企業側の対策を説明した。

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