九州大学は8月26日、3Dモデル化した生物標本1400点以上をオンライン公開した。被写体をさまざまな角度から撮影し3Dモデル化する手法「フォトグラメトリ」を使い、水生生物など700種以上1400点のデジタル標本を作成したという。ライセンスはCC BY 4.0で、誰でも自由にダウンロードや配布が可能。
九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの鹿野雄一特任准教授が開発した、生物標本を対象としたフォトグラメトリ手法「バイオフォトグラメトリ」を使い、3Dモデルを作成した。これまで生物学分野ではフォトグラメトリはあまり活用されず、CTスキャナーやMRIでの内部構造のモデル化が主流だったという。
生物標本は、分類学や生態学などの研究を進める上で重要な役割を担う。しかし、いくら厳重に管理しても標本の劣化や退色は免れず、利用の際に紛失や損傷のリスクも付きまとう。そのため、近年多くの博物館では、標本のリストや画像をオンラインで公開するようになった。とはいえ、標本を細く観察・計測するには実物にアクセスする必要があったという。
同大は「今後、バイオフォトグラメトリの普及が進むと、絶滅種などの重要な標本も3D モデルで順次オンラインで公開されるようになる」と説明。生物学だけでなく、メタバースやバーチャルリアリティー(VR)などさまざまな分野への応用も考えられるとしている。
この研究はブルガリアの科学誌「Research Ideas and Outcomes」に8月8日付で掲載された。
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