2つ目は、機械学習アルゴリズムで画像データを自動分類できることを示すコンテンツ「t-SNE Map」を見ていく。こちらも、PCのWebブラウザでしか動かせない。
このt-SNE Mapは絵画や版画、印刷物などの視覚的作品を機械学習アルゴリズムで分類している。Bird Soundsが音声データだけで分類したのと同じく、t-SNE Mapは与えられた画像データだけで作品ごとの類似度だけを判断している。この計算処理には、Googleの画像検索サービスと同じアルゴリズムを使っているそうだ。
Webアプリを実行すると、大量の点が画面の空間内に配置される。1つ1つの点が1枚の絵だ。黒い点が集まっている部分や赤い点が密集している場所などがあり、似たものが近くに置かれているとよく分かる。
拡大していくと、似た絵の集団やそれぞれの絵を詳しく見られる。確かに近くにある絵は似ているのだが、ときおり形などが大きく異なるものが混ざっていて興味深い。思わぬ作品に出会えることもあって、いつまでも見飽きないコンテンツだ。
最後に、実用的な例を紹介する。米航空宇宙局(NASA)の公開している大量の画像を分類した「NASA's Visual Universe」だ。ありがたいことに、これはススマホのWebブラウザでも動くアプリだ。
このWebアプリは、NASAの設立50周年とアポロ月探査計画の50周年を記念したものだ。Googleのアート紹介プロジェクト「Google Arts & Culture」の一環で開発された。NASAの公開している約12万7000枚もの画像を活用しているのだが、ただ並べただけでは標準的なコンテンツで終わってしまう。
そこで機械学習アルゴリズムを活用して画像を分類した。さらに自然言語解析も組み合わせて、画像に付いている解説文からもキーワードを抽出している。そしてt-SNEを使って関連性の高い画像をグループ化した。こうすることで、特定の話題に興味を持つ人が目的の画像にアクセスしやすくなった。
機械学習アルゴリズムとt-SNEのような技術を活用すると、大量にある音声や画像などのデータを手間なく分類して見やすく表示できるとお分かりいただけただろうか。
もちろん、自動的な分類だけだと違和感のある結果になることもあり、そうした例はt-SNE Mapで確認できる。AIの精度が影響して、人間では考えられないような間違った結果を導き出すこともある。AIを重要な用途で使う際は、出力結果の検証プロセスを組み込んだ方がいいだろう。
AIを使うときは、アルゴリズムの種類や表示する手法といった活用手段をきちんと理解した上で、誤った結果に注意する必要がある。この点に注意すれば、人間と協調して作業負荷を軽減しつつより良い結果を出すことができるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR