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発売前の「PS VR2」を体験した 「Meta Quest 2」の牙城を崩せるか?(1/2 ページ)

» 2022年09月14日 21時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 2023年初頭に発売予定のPlayStation 5(PS5)専用VRヘッドセット「PlayStation VR2」(PS VR2)。16年に発売した「PlayStation VR」の後継である同ヘッドセットを実際に装着し、ゲームを試遊する機会を得たので、その使い心地をレビューする。

 米Metaが「Meta Quest 2」を値上げしたり、ハイエンドモデルとして「Project Cambria」を予告したりするなど、VRヘッドセットを巡る流れが変わる中、PS VR2はどんな立ち位置のハードウェアになり得るのか。記者が遊びながら考えてみる。

PlayStation VR2

 参考記事:「PS VR2」、2023年初頭に発売

「Quest 2」より着けてて快適 日本人の装着感

 まずは装着感から。ソニー・インタラクティブエンタテインメントはPS VR2の重量を公表していないが、実際に被った体感としては、記者が持っている「Meta Quest 2」より軽く感じた。額や後頭部を支えるクッションも柔らかく、長時間装着しやすそうだった。

 Meta Quest 2は鼻の高い人の装着を想定しているからか、鼻が低い人が使うと目元部分が顔に密着せず、外が少し見えてしまう弱点があった。一方で、PS VR2に同様の問題はなかった。記者はメガネを常用しており、Meta Quest 2だとやや窮屈だったが、PS VR2だと余裕を持って装着できた。ゲーム中にズレることもなかった。

photo ヘッドセットの内側

 装着時は初代PS VR同様、ヘッドセットを被った後に背面のバンド部分にあるダイヤルで締め付けを調整。次にゴーグル部分の右上にあるボタンでゴーグルの前後を調整する仕組みだ。PS VR2では新たに、ゴーグル左上のダイヤルを回すことで、レンズ間の距離も調整できるようになった。

photo PS VR2の背面ボタン。ボタンとダイヤルが一体化した
photo ヘッドセット左上のダイヤル

コントローラーも使いやすく Oculus Touchに近づいた

 実際にゲームをプレイして気付いた点もあった。今回遊んだのはPS VR2専用のアクションゲーム「Horizon Call of the Mountain」と、カプコンの「バイオハザード ヴィレッジ」のVR版。順に座位、立位でプレイした。

photo Senseコントローラー

 まず感じたのは、新型コントローラー「Senseコントローラー」の使いやすさだ。初代ではスティック状の「PS Move」を採用していたが、今回のSenseコントローラーはオーブ型。Meta Quest用コントローラーの「Oculus Touch」シリーズに近づき、VRゲームにつきものな握る・離す動作がかなり快適になった。

新型コントローラーを握っている様子

 Senseコントローラーは、PS5用コントローラー「DualSense」と同じ機能をいくつか搭載している。その一つがゲームの状況に応じてトリガー型ボタンを押すときの重さが変わる「アダプティブトリガー」だ。操作によってトリガーが軽くなったり重くなったりするので、ゲームへの没入感が生まれるという。

 もう一つは、コントローラーの振動を通して「硬い床を歩く」「ぬかるんだ地面を歩く」といった感覚を再現する「ハプティックフィードバック」だ。こちらもゲームへの没入感を高める機能という。Meta Quest 2のコントローラーも振動機能を備えているが、「モノに触っただけでこんなにブルブルするか?」と興を削がれることもあった。一方でSenseコントローラーは触るモノや動作によって振動などが変わるので、ゲーム中に余計な違和感を覚えにくかった。

 SenseコントローラーはOculus Touchと同様、触覚センサーも備えている。ボタンを押さなくても触れるだけでゲーム内での手の形を変えることが可能だった。

“ゲームの中にいる感覚”を加速させるアイトラッキング

 コントローラー以外では、新世代機からの新機能であるアイトラッキングもゲームを楽しく遊べた要素の一つだった。特に印象に残ったのは、バイオハザード ヴィレッジを遊んでいたときに気付いたある機能だ。

 洋館を探索しているとき、視線が向いた場所だけを周囲より高解像度で描写していることに気付いた。これはアイトラッキングを活用した「Foveated Rendering」という技術で、例えばシャンデリアを見つめると、この一点だけ他より鮮明に見える。描写の移り変わりも基本的には不自然に感じなかった。

 タイトルにもよるが、ゲーマーにはプレイだけでなくゲーム内の風景や装飾を鑑賞して楽しむ人も多い。多様化するゲームの楽しみ方にも対応していると感じた。

 バイオハザード ヴィレッジでは、アイトラッキング機能を他の用途にも使っていた。例えば、アイテムの強調表示のオンオフだ。ステージ内でアイテムを探しているとき、視線が向いたときだけ説明のウィンドウなどを出し、そうでないときは表示しない機能があった。

 これによりUIの表示が減っており、よりゲームの世界感に浸れる気がした。PS VR2はコントローラーだけでなくヘッドセットも振動する他、Meta Quest 2より高解像度な有機ELディスプレイを搭載している。Meta Quest 2に比べ解像感や発色が良く感じられたので「ゲームの世界の中にいる感覚」を損ねにくくなっているのは好印象だった。

 個人的にはバイオハザード ヴィレッジのプレイ中、身長280cmの女性敵キャラクター「ドミトレスク夫人」に捕まってしまう場面はかなりテンションが上がった。

 もう一つ便利と感じた機能として、ヘッドセットをかぶりながら外の様子を見られる「シースルービュー」があった。ゴーグル部分の下部にあるボタンを押せばいつでも外の様子が見られる。VRゲームには体を大きく動かすものも多いので、途中で飲み物を飲んだり、休憩したくなったりするときがある。とはいえ、いちいちヘッドセットを着け外しするのは面倒だ。

photo ヘッドセット下部。左下の黒いボタンがシースルービュー用

 そこでシースルービューを使うと、ヘッドセットを付けながら飲み物を飲んだり、椅子に座ったりできる。実際、筆者も試遊中の休憩時間に、シースルービューを使ってヘッドセットを着けながら飲み物を飲んだが、特に問題はなかった。

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