学習が完了したら、実際にAIモデルを試してみよう。PCのカメラが自動的に起動するので、分類させる4つの数字を手で表して写してみた。AIによる分類結果は、各クラスにどれだけ近いかという確率で示される。
0と5の認識精度は高く、問題なく分類に成功した。ところが、どうしても1が正しく認識されず、2と判断されてしまう。それに対して、2は安定して分類できる。
試しに学習させていない3と4を見せたところ、これらも2に分類された。どうもこのAIモデルは、うまく分類できないものを2と判断する癖があるのかもしれない。
Teachable Machineは、作成したAIモデル(プロジェクト)を保存しておき、再利用する機能を備えている。左上のメニューから「ドライブにプロジェクトを保存」すると、クラウドストレージ「Google Drive」にプロジェクトの関連データを保存可能だ。後で再び使ったり、他の環境で動かしたりできる。
せっかくなので、今回はChromebookで作ったプロジェクトをいったん保存して、別のPCで開いた。動かしてみると、その結果はひどいものだった。
どんな数字を指で表しても、全て5に分類されてしまう。サンプル画像は手の背景がシンプルだったが、別のPCで試した際はカメラに写り込む要素が多く、サンプル画像とあまりに違いすぎて正しく認識できなかったのだろう。適切なサンプルを集めることの大切さを思い知らされた。
このようにTeachable Machineを使うと、サンプル収集から学習というAIモデルの作成プロセスを手軽に体験できる。それなりに動くAIモデルを簡単に作れる一方、精度を高めることの難しさも学べる。ニューラルネットワークや機械学習といった技術に基づくAIの基礎や特徴を見事にデモンストレーションする、優れたコンテンツといえる。
さらに、Teachable Machineには、作成したAIモデルをエクスポートして他のアプリなどに組み込めるという実用的な機能もある。例えば今回作ったハンドサイン数字の認識AIが実用に耐える精度なら、それを使った独自のゲームを作れてしまうというわけだ。
エクスポートするモデルは機械学習ツールキット「TensorFlow」向けのものだ。JavaScriptで動く「TensorFlow.js」版なら、Webブラウザ上でAIモデルを動かせる。
Experiments with Googleでは、Teachable Machineを利用して作ったコンテンツをいくつか紹介している。そのなかにはGitHubでコードを公開しているものもあるので、開発の参考にするといいだろう。
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