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新チップ「Apple H2」に異例のストラップホール 新型「AirPods Pro」を深掘りする(1/3 ページ)

» 2022年09月16日 12時00分 公開
[村上タクタITmedia]

 アップル製品の真価は、背後にある深い技術力と、それを感じさせない自然な使い心地にある。AirPodsがこれほど普及したのも、そもそもは完全ワイヤレスイヤフォンにつきものだった「ペアリングの面倒さ」や「バッテリー容量の小ささ」などを解決し、しかもそれを感じさせなかったところにある。第2世代AirPods Proは、H2チップの搭載で「感じさせない凄さ」を次のレベルに進化させている。

「AirPods Pro」第2世代モデル

H1の2倍のトランジスターを搭載したH2

 本機の技術的な意味での最大の強みは新開発のApple H2チップを搭載していることにある。ちなみに、初代AirPodsが搭載していたのがW1。第2〜3世代のAirPods、初代AirPods Pro、AirPods Maxが搭載していたのがH1チップ。第2世代AirPods ProはH2世代の初号機にあたる。

第2世代AirPods Proは初代とほとんど同じ外形をしている

 最近のアップルの強みはチップセットを自社製として完全に思うがままに作れるところにある(製造はTSMCだが)。iPhoneのAシリーズチップ、MacのMシリーズチップについても同様。そして、独自設計のチップセットに対応したソフトウェアも自社で作れるのが強い。製品の目的にあったソフトとハードの両輪を思い通りに開発できる会社はあまりない。

第2世代AirPods Proには、最新のH2チップが搭載されている

 H2チップは、H1の2倍となる10億個のトランジスターを集積している。さすがに、160億個のトランジスターを積むA16 Bionicよりは少ないかもしれないが、逆にこれほどの「頭脳」を持つイヤフォンも他にはないだろう。ノイズキャンセリング機能や、空間オーディオ、バッテリー持続時間の延長など特徴的な機能はすべて、このH2チップがもたらしていると言っていい。つまり、独自チップを作れないイヤフォンメーカーでは追いつけない領域にアップルは到達してしまっている。

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