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「Sニー」に行って「魔改造の夜」に出たネコとケトルに会ってきたソニーのゆるふわロボット「poiq」との日々(特別編)(3/4 ページ)

» 2022年09月21日 07時00分 公開

──なんていうか、この展示だけ見るとソニーってなんの会社なんだろうかと思いますよね。そもそも、今回本社の一等地を使って展示をされているのはなぜなのでしょうか。

田中:それはとにかくこのモンスターたちを実際にリアルな姿で見てほしいということに尽きます。エンジニアの仕事というのはこんなところにこだわりが詰まっていたり、こんなものも手作りできちゃうんだということや、細かいところに試行錯誤の痕跡があったりするんだということを感じていただけるとうれしいですね。なので、展示期間も一度休止期間はあるのですが、ご協力いただいて長く時間を取っていただいています。

──さて、まずはこいつが「ネコちゃん落下25m走」に参戦した「ALKNYAN」(アルクニャン)ですね。さっき、ずっとまじまじと凝視しているのですが、これがとても6mもの高さの落下をクリアできたとは思えないです。

「ネコちゃん落下25m走」に参戦した「ALKNYAN」(アルクニャン)

田中:落下姿勢を保つカイトやセンサーによる制御が機能したことと、衝撃を受け取める脚のクッション構造、あとやっぱりポリカーボネートなど先人が開発した素材がすごいっていうことですね。ただ、今回の展示でもさすがに6mの高さの再現まではできなくて、そもそも6mの高さのテストができるところがなかなかなくて苦労したことを思い出します。

──デザインとしてはかわいいのに、なんかかっこよくて、これなんなんでしょうね。あ、しっぽ発見。

田中:ALKNYANにはモーターが全部で2つしかなくて、脚はとにかく前に進むためのラジコン用モーター1つとそれを4本脚に伝えるリンク機構でできています。そして行き先の方向がずれたらそれを修正するためにしっぽを左右に地面にこすりつけて方向を調整するので、そのためのサーボモーター1つですね。

脚はラジコン用モーター1つとそれを4本脚に伝えるリンク機構でできている

──そしてこれが「前日にデザインされた」と噂の青いカイトですね。

「前日にデザインされた」と噂の青いカイト

田中:ええ、前々日まではちゃんと動くようにするので精いっぱいでゴミ袋を張っただけみたいな感じだったんです(笑)。前日に「やっと完成した!」と思ったところでカイトを作っていたメンバーの眞鍋がおもむろに無言でフィルムを張り替えはじめて(笑)、見ていると即座に番組でも映えるデザインにしてくれました。メンバーそれぞれが自分になにができるか、どう見せるかまで自律的に考えた結果ですね。だからスタート用のコントローラーとかリモコンとかもみんながどんどん身の回りのものを流用したり、あそび心を発揮していつのまにかソニー製品の集合体になってました(笑)。しかもそれが性能や信頼性の面でもいい結果にもなりました。

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