電子契約・電子サイン・電子署名サービスは、従来の紙に代わり電子文書のやりとりだけで締結できる契約と、その契約において従来の印鑑押印に代わる役割を持つ電子サイン・電子署名を行えるサービスだ。
企業間取引においては、契約の締結の有無や契約内容についてトラブルになったときに備え、多くの場合で契約書を締結する。従来、電子文書は紙媒体の契約書に比べて改ざんが容易なことを理由に、訴訟などでの法的効力が低かった。しかし2000年の電子署名法施行によって、電子署名がある電子文書は、紙の契約書と同等の法的効力を持つようになった。
近年は多くの電子契約サービスがリリースされ、電子契約の締結に際して、各当事者がもともと同じサービスやツールを使っていなくても契約締結ができるようになった。従来の紙媒体の契約方法に比べ、時間、コスト、セキュリティなどで効率化が期待できることから、普及が進んでいる。
そんな電子契約・電子サイン・電子署名サービスのうち、ユーザー満足度が高いのはどれだろうか。IT製品レビューサイト「ITreview」によると、1位は「クラウドサイン」だった。以下、2位「電子印鑑GMOサイン」、3位「Adobe Acrobat Sign」と続いた。
クラウドサインは弁護士ドットコム社が提供する、電子契約の締結から契約書管理まで可能なクラウドベースの電子契約サービス。相手との交渉が済んで完成した契約書をアップロードし、相手が承認するだけで契約が締結する。書類の受信側はクラウドサインにユーザー登録する必要はない。国内の電子契約サービス市場において、有料導入企業数が1位という(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」【電子契約ツール、2020年度実績】)。
クラウドサインでは、契約に関わる業務(作成、締結、管理、検索)全てがクラウドサイン上で行えるため、印鑑押印や書類送付・受取のための出社や契約書保管のためのスペースなどが不要になる。利用するための費用は、月額1万1000円+契約書送信ごとに200円から。
ITreviewでのレビューの総合満足度は5点満点中4.2点で、「使いやすさ」の評価が4.4点と高い。次いで「機能への満足度」「導入のしやすさ」が4.3点、「管理のしやすさ」が4.1点と続いている。
ユーザーからは「契約書の締結にかかっていた時間が、平均20日から1〜3日になり、ビジネススピードが速くなった」「クラウド上にPDFが補完されるので、いつでも簡単にアクセスできる」「契約書の郵送のやりとりなどのタイムラグがなく、遠距離の相手との契約も瞬時に可能」「契約締結時に双方共に見やすく分かりやすい契約がWeb上で行える」といった声が上がっている。
2位の電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス社によるクラウド型の電子契約サービス。費用は月額9680円+契約書送信ごとに110円。ルーチン化している大量の務委託契約書や雇用契約書の一括送信が可能で、大人数宛ての契約締結が効率化できるとしている。
3位のAdobe Acrobat Signは、アドビ社が提供する電子契約・電子サイン・電子署名サービスだ。電子サインとAdobe Acrobatの機能を組み合わせることで、さまざまなデバイス上でPDFの作成と編集、共同作業、署名、共有が行える。Microsoft推奨の電子サインソリューションであり、Microsoftの各種アプリケーションと連携できる。
本ランキングは、ITreviewの「電子契約・電子サイン・電子署名」カテゴリーで30件以上のレビューを獲得しているサービスの中から、満足度順に編集部で集計した。(2022年9月21日時点)
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