バンダイナムコスタジオはコロナ禍前の新人研修では、模造紙やホワイトボード、付箋を使ってワークショップや制作研修を実施していた。ブレインストーミングや企画などをメンバーと一緒に取り組んでいたが、コロナ禍で原則テレワークになってからは、対面のときと同じようなリズムで共同作業するのが難しくなった。
また、新入社員同士やインストラクターなどとのコミュニケーション、会社への所属意識などが希薄になりがちなことが悩みだったという。
21年の研修では、準備の段階でこれらの問題を解決できるツールが偶然見つかった。それが「オンラインホワイトボード」と「バーチャルオフィス」だ。
オンラインホワイトボードはその名の通り、オンラインで複数の社員が同時に編集できる白紙のシートを提供するサービス。バンダイナムコスタジオが導入したツールは、シートや付箋の拡大縮小がドラッグアンドドロップで手軽にでき、50人の同時接続に耐えるというものだ。
操作が直感的である点、数十人が同時に使える点などが導入の決め手になった。インターンシップなどでもトラブルなく使えているという。
このオンラインホワイトボードは、アイデア出しなどのブレインストーミングで活用した。スペースに限界がない点、他のシートを1画面で閲覧できる視認性の良さなどがあり、実際の紙の模造紙よりも使い勝手が良かったとしている。
オンラインホワイトボード上には動画やプレゼンテーションなどのメディアも貼り付けられる。特に企画書を画像化して添付できるのが便利だったという。
「今までは資料をそれぞれクリックして見ないといけませんでしたが、パッと見られるようになりました。視認性が高いため気になったものにフィードバックを返すのがやりやすくなりました」(澁谷さん)
これまで、操作感の影響で少なかったフィードバック件数が、視認性の向上でより綿密に送れるようになった。インストラクターやメンターからのフィードバックも生まれ、コミュニケーションが増えたという。
もう一つ導入したのがバーチャルオフィス。社員がアバターを作りオフィスを模したスペースに集ってコミュニケーションできるツールだ。バンダイナムコスタジオが導入したツールでは、アバター同士が近づくと通話がつながり顔が見えて話せる。
メンバーに話しかけていいかどうかが一目で分かる表示方法や、メンバーの趣味が分かる一言コメント機能、絵文字でのコミュニケーションなどが好評という。
研修担当者はコロナ禍前の出社したら周りにいて人がいる状態を再現できるよう、バーチャルオフィス内に自席を作ったり、他のチームともコミュニケーションしやすいよう壁を取り払ったりと、執務スペースのデザインにもこだわった。
これにより、コロナ禍前に実際のオフィスで発生してコミュニケーションが再発生したという。会議の帰りに立ち話をする、廊下でばったり会って話す、相手の状況を見て察するといったコミュニケーションが可能になった。
「それぞれは業務の遂行に必要かというと微妙ですが、何気ないコミュニケーションの蓄積が相手や周囲への信頼度や親近感につながるといった自分から話しかけるモチベーションになります。特に、互いに初対面から始まる新人研修ではバーチャルオフィスでの交流が効果的でした」(澁谷さん)
研修担当者からすれば、監視はしたくないが状況は把握したいという微妙な距離感を実現できたという。
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