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新人作のゲームに「神ゲー」の声 「コロナ前のノウハウ使えなかった」のになぜ? バンナム新卒研修の工夫(3/3 ページ)

» 2022年09月26日 19時30分 公開
[谷井将人ITmedia]
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「提案や相談が怖い」という新入社員を生まない 不安のケアも重視

 新人研修では心のケアも重視した。「最初に取り組むべきは、心理的の担保された成長しやすい環境づくりです」と澁谷さん。新入社員は業務に携わった経験がない状態で、それまでとは違う環境に一人きりで挑んでいる。「不安を抱えているのが当たり前」(澁谷さん)という。

 そんな中で「できないやつだと思われるのではないか」「初歩的なことを聞いてもいいのか」「空気が読めないと思われそう」と感じていると、提案や相談が怖くなり、本来持っている力が発揮できない。

 それを防ぐため、安心できる環境作りを重視しているという。できないやつとは思われていないこと、相談した方がうまくいくこと、提案することはいいこと──これを感じてもらうことで長所を発揮できると考えた。

 具体的には、研修序盤に能力や成果ではなく行動で評価すること、インストラクターは新人を評価するのではなくサポーターとして存在していることを伝えること、新人の将来に期待していることを大げさなくらいに伝えているという。

環境を作っただけではコミュニケーションは生まれない

 「オンライン新人研修で信頼関係を築くコツは、自然なコミュニケーション発生を待つのではなく、意図的にコミュニケーションを設計することです」(澁谷さん)

 研修では、インストラクターと新入社員がコミュニケーションする朝会、メンターと1対1で話す夕会、社員へ相談していいことを明確にアピールする「相談OKタイム」など、コミュニケーションの場を作った。

 これらのツールの活用や交流の場の用意で、内容、質ともにテレワーク前の研修内容とほぼ同等の研修が実施でき、期待以上に社員が成長したという。

 研修の性質上、完成したゲームのクオリティーは優先事項ではなかった。しかし4カ月で作ったとは思えないハイレベルな作品ができ、社内で新入社員たちの実力と姿勢が評価されることにもつながったとしている。

 ゲームを公開して社外の評価を受ける経験を積ませたいという声も上がり、研修でできたGoonectのリリースが決定。最終的に新入社員は、社外の人間がゲームをプレイする様子やレビューを見るという経験を得られた。

 「環境を作っただけではコミュニケーションは生まれません。環境はあるけど誰も話さないこともあり得ます。コミュニケーションが生まれる場面を意図的に作る運用を工夫しました」(澁谷さん)

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