コロナ禍が始まって2年超。テレワークが浸透したことで、働き方の多様化が進んだ。オフィスワークを続けている企業もあれば、テレワークに全面移行した企業や、これらを組み合わせた「ハイブリッドワーク」に踏み出す企業も見られる。
働き方の変化に伴い、オフィスの在り方も変わりつつある。ビジネスパーソンの大多数が出社するわけではなくなったいま、出社して働くことの価値を疑問視する声も出ている。いずれにせよ、現状はオフィスの価値や在り方が変化している最中といえるだろう。
一方、そんな状況だからこそ、オフィスの在り方を模索し続けている企業もいる。文房具やオフィス家具の製造販売を手掛けるコクヨだ。同社は2021年2月、働き方に関する実証実験の場を兼ねた事業拠点「THE CAMPUS」を開設。22年1月には、定期的な調整を前提とした新しい勤務制度「コクヨ式ハイブリッドワーク」を導入した。
試行錯誤を続けるコクヨはいま、オフィスの在り方をどう考えているのか。THE CAMPUSなどの施策に携わってきた江崎舞さん(働き方改革タスクフォース)によれば、同社は一連の取り組みを通して、あるジレンマに向き合っているという。
この2年で多くの企業が導入したテレワーク。メリットもある一方で、以前に比べて失われたものや課題も浮き彫りになってきた。とはいえ、完全なリアルオフィス回帰もテレワークのメリットを捨てることになる。
テレワーク導入による組織課題を整理し、これからのあるべき働き方を探る。
まず、働き方を巡るコクヨのこれまでの取り組みを整理する。同社は2020年、コロナ禍を機に、オフィスワークを基本とする働き方から、なるべく出社を控えて勤務する体制に移行した。
一方で、在宅勤務によって、他社と同様にコミュニケーションなどの課題も発生。そこで、オフィスの在り方を模索する施設としてTHE CAMPUSをオープンした。
THE CAMPUSでは座席の予約システムを試すといった実験に加え、社員向けイベントなどを開催。サントリー食品インターナショナルが開発した、社員2人が一緒に利用すると、飲み物を無料で買える自販機「社長のおごり自販機」を設置し、コミュニケーションの活発化を図るなど、他社と協力しての実験も行った。
その後、22年1月にコクヨ式ハイブリッドワークを導入。同制度は、社員が自分の働き方を3つのパターンから選択できる仕組みだ。所属するチーム内での相談結果に応じて「在宅中心」「ハイブリッドワーク」「オフィスワーク中心」のどれかを選べる。働き方は四半期ごとに変更が可能だ。
ただし、在宅中心を選べるのは、原則として子育てや介護が必要と言った事情がある人のみ。一方で、実施後の調整を前提とした仕組みでもあり、社員の声などに応じて制度を調整していく方針という。
続いて8月8日には、業務時間外の私的利用や、友人・家族の同伴を認めるサテライトオフィス「n.5」(エヌテンゴ)を下北沢にオープン。THE CAMPUSと同様、実証実験の場としても運用するという。
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