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» 2021年01月26日 08時00分 公開

テレワーク正式導入のスクエニ、ゲーム開発への影響は? 「ドラクエX」責任者に聞く(1/2 ページ)

2020年12月にテレワークを正式に制度化したスクウェア・エニックス。在宅勤務でもゲーム作りは円滑に進むのか、「ドラゴンクエストX オンライン」の責任者に聞いた。

[吉村哲樹, 吉川大貴,ITmedia]

 「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」などの人気ゲームの開発元として知られるスクウェア・エニックス(以下スクエニ)。同社はコロナ禍を受け、2020年4月から全社員を対象に、暫定的な措置として在宅勤務を実施。12月には正式に制度化した。

 ゲーム開発の仕事といえば、クリエイターや開発者が互いに膝を突き合わせ、議論を交わしながら作品を作り上げるイメージが強い。スクエニの取り組みは、そうした業界のイメージとは真逆の方向を向いているように見えるかもしれない。

photo 「ドラクエX」の公式サイト

 だがオンラインゲーム「ドラゴンクエストX オンライン」(ドラクエX)の開発運営チームの責任者を務める青山公士さん(第二開発事業本部 ディレクター)によれば、同チームでは在宅勤務でも円滑に業務を進められているという。青山さんは理由の1つとして、ゲーム開発で使う特殊なPCを、会社の費用負担のもとで自宅に持ち帰れたことを挙げている。

 「セキュリティ上の問題で詳細は言えないが、開発者やクリエイターは普段かなりハイスペックなPCを使って作業を行っており、場合によっては実機検証のために専用の機材を使うこともある。通常、そうした機材は社外に持ち出せないが、今回のコロナ禍では許可が出たため、業務環境を丸ごと社員の自宅に移設できた」(青山さん)

 業務がスムーズに進む理由は他にもある。青山さんはその1つとして、ドラクエXの開発チームではテレワークの開始前からチャットを使ったコミュニケーション文化が定着していたことを挙げる。

 「ドラクエXはオンラインゲーム。トラブルが発生したときには、誰がいつどこにいても即座に対応する必要がある。そのため、担当者が急きょ早朝や深夜に自宅でトラブル対応に当たり、その後も社内にいるほかの社員とのチャットツールで連絡を取り合いながら仕事を進めるという働き方がコロナ禍以前から定着していた」(青山さん)

 従来はテキストの送受信に特化したチャットツールを使っていたが、20年4月のテレワークの試験導入に合わせて「Slack」を導入。以降は画像やスタンプを使ったコミュニケーションも行っている。

 具体的には、シナリオやキャラクターについて話し合う際に、メンバーが描いたイラストを積極的に送り合っている。こうすることで、メンバーは実現したい世界観やキャラクターのイメージを他の部員に共有しやすくなり、制作に向けた意思疎通がスムーズになるとしている。

 タスクを管理する仕組みがテレワークの実施前から整っていたことも、業務が円滑に進む理由の1つだ。青山さんによればドラクエXの開発は規模が極めて大きく、シナリオや音楽の作成など、作業の数も膨大という。そのため、コロナ禍以前からタスクの抜け・漏れをなくすべく口頭での指示を極力排し、チケットシステムを使ってタスクを管理してきた。

 この仕組みは現在も採用しており、青山さんは「もともと口頭で(仕事を)指示しないほうがいい、という文化が根付いていたので、在宅勤務でも(タスク管理の面で)あまり問題はない」としている。

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