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新人作のゲームに「神ゲー」の声 「コロナ前のノウハウ使えなかった」のになぜ? バンナム新卒研修の工夫(1/3 ページ)

» 2022年09月26日 19時30分 公開
[谷井将人ITmedia]

 バンダイナムコエンターテインメントの子会社で、ゲーム開発などを手掛けるバンダイナムコスタジオ。同社の新人研修では、実際にゲームを制作する「制作実習」を実施している。5月にはその研修で作られたゲーム「Goonect」(グーネクト)を、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で配信。新人の作品にもかかわらず、レビューでは「神ゲー」と評価する声も集まった。

photo レビューの94%が高評価

 このゲームが作られたのは2021年の新人研修。コロナ禍真っただ中で、新入社員たちはオフィスに集まることもままならず、ほとんど実際には会わないまま制作した。しかし、テレワークしながら共同で作品を作るには、もともと所属している社員同士でも工夫がいる。そんな中、バンダイナムコスタジオはどうやってオンライン新人研修でゲームを作れたのか。

 同社で新人研修を担当した平野響子さん(採用担当)と澁谷美幸さん(ゲームデザイナー)は、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2022」(8月23日〜25日開催)で、新人研修の様子を語った。コロナ禍で実地での研修ができない中、研修担当者たちはツールの導入や意図的なコミュニケーションづくりに奔走していた。

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バンナムの新人研修は半年 専門部署もあり100人を投入

 バンダイナムコスタジオでは、6カ月にわたる新人研修を実施している。オンラインでの研修は2020年に始めた。当時はコロナ禍の影響で突如オンライン化せざるを得ない状況になった。21年もオフィスに集まっての作業はできなかったが、オンライン研修に向けた準備期間は確保できた。

 6カ月間のスケジュールは以下の通り。まず4月に社会人としての基本を教える「共通研修」があり、5月から6月にかけては職種別の「専門研修」を実施。7月から10月にかけて、実際にゲーム制作の一連の流れを実践で学ぶ「制作研修」と評価がある。

photo 研修スケジュール

 制作研修では10人程度でチームを構成し、企画や開発などを体験する。場合によっては外部発注もする。

 「(ゲーム制作は今)開発期間の長期化や分業の流れがあります。配属されると、まずは一部の作業を担当することになりますが、すると(全容が見えず)断片的な作業をしがちになります。完成の喜びや作品への反応を見る機会を早めに経験することが目的です」(平野さん)

photo 平野さんのプロフィール

 社内には研修の専門組織があり、研修のディレクターや各職種のインストラクター、新人一人一人に寄り添うメンターなど、全体で100人を超える社員が参加する。

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