ITmedia NEWS >

未上場企業のM&Aエグジット、FUNDINNOのセカンダリーマーケットが果たした役割とは?

» 2022年10月04日 13時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 未上場株式への投資、およびセカンダリーマーケットを手掛けるFUNDINNO(東京都品川区)は10月4日、資金調達を支援したInnovation Farm(東京都板橋区)があいホールディングス社に買収され子会社となったと発表した。Innovation Farmへの投資家は、このM&Aによって資金回収(エグジット)を果たし、投資資金は最大で4.4倍となった。

東証プライム上場企業によるM&Aでエグジットとなる事例が発生した

 Innovation FarmはIoTプラットフォームの提供、およびロボットやIoT関連の受託開発を行う企業。2019年と21年にクラウドファンディング「FUNDINNO」を通じて資金調達を行い、7月の取引でM&Aを実現した。

未上場株のセカンダリーマーケットで、株主を一本化

 同社はまた22年に、発行済の未上場株式を取り引きできるセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」内での取引も開始。これが、スムーズなM&A実現に貢献した。

 株式投資型クラウドファンディングを実施すると、株主数が増加するが、これがM&Aなどの際には問題となることがある。買収側が、株主ひとりひとりから株を買い取らなければならないからだ。同社へはFUNDINNOを通じて332人が出資していた。

 この問題を解決するため、同社の社長がFUNDINNO MARKETにて、既存株主から初回調達価格の4.4倍の価格での買い取りオファーを提示。株主がそれに応じることで、株主を一本化でき、スムーズなM&Aにつながった。

 「セカンダリーマーケットがあれば、クラウドファンディングで資金調達して株主数が増加しても、エグジット時の問題がなくなることが実証できた」とFUNDINNO広報は言う。

 これまで難しかった未上場株式への投資だが、資金調達(プライマリ)については株式投資型クラウドファンディングという形で環境が整ってきた。国内シェアトップをうたうFUNDINNOでは17年のサービス開始以来、11万人あまりの一般投資家が参加し、288件、88.9億円の資金調達が実施された。

 21年末にスタートしたFUNDINNO MARKETでは、国内で初めて未上場株式をオンラインで取引可能にした。利用者は6289人となっている。

株式投資型クラウドファンディングFUNDINNOの投資回収事例

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.