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象印も新規参入「オーブンレンジ」激戦区はミドルクラス、子育て世代に人気の背景知らないと損!?業界最前線(4/4 ページ)

» 2022年10月12日 07時00分 公開
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子育て世代の人気受け、複数メーカーが参入

 これまでのオーブンレンジ市場をメーカー別に見ると、高価格帯はパナソニックや東芝、日立、シャープといった大手メーカー、利益率が低く差別化しにくい単機能レンジはアイリスオーヤマや山善、ハイアールなど、低価格商品が得意なメーカーの製品が多かった。しかし、この構図が変わり始めている。

 例えばこれまで低価格モデルが中心だったアイリスオーヤマは今年、一般的なハイエンドクラスの30リットルという容量ながらミドルクラスの価格帯で購入できる「コンベクションスチームオーブンレンジMS-F3002-B」(実勢価格5万9300円)を投入している。

アイリスオーヤマ「コンベクションスチームオーブンレンジMS-F3002-B」(実勢価格5万9300円)。水タンクを搭載し、スチーム調理に対応。2段調理にも対応する

 また、ツインバード工業は21年の創業70周年に「Kando Simple」というブランドラインを立ち上げ、「スチームオーブンレンジ DR-F871W」(実勢価格5万9800円)を22年1月に投入した。象印だけでなく、多くのメーカーがこの5〜8万円のミドルクラスでオーブンレンジ市場に新規参入しているわけだ。

ツインバード工業「スチームオーブンレンジ DR-F871W」(実勢価格5万9800円)。食材を上下スチームで包み込むWスチーム機能を搭載

 メーカー目線で見ると単機能レンジや低価格オーブンレンジは差別化が難しく、市場の飽和が進んでいる。また、フラグシップモデルは機能進化が頭打ちを迎えているにもかかわらず、高価格化が止まらず新規参入は難しい。しかし手軽さと機能面での魅力もある、ミドルクラスのオーブンレンジなら、差別化しやすく製品開発もしやすい。このクラスでヒットを出せれば、それを足がかりにしてフラグシップモデルの開発といった垂直方向の展開も考え得るのだ。

 そして、これらの製品がターゲットにしているのが、30代の子育て世帯。

 共働きが当たり前で、仕事と子育てに忙しい30代世帯にとって、ほったらかしや時短で家事を済ませられる家電は欠かせない。とはいえ、シニア世代のような経済的な余裕はなく、フラグシップモデルはオーバースペックと考えている。

 必要な機能のみを搭載し、身の丈にあった価格で手に入る家電を求めており、このニーズをつかんだミドルクラスのオーブンレンジが今、台風の目となっているのだ。

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