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Google新作スマホ「Pixel 7」の実力 「Pixel 6」と比べてわかったカメラの進化(2/3 ページ)

» 2022年10月14日 18時00分 公開
[山川晶之ITmedia]

新チップで“ゴリゴリ”に強化されたカメラ

 Google Tensor G2のパワーはカメラ機能でも発揮する。先述の音声通話時のノイズキャンセリングを生かし、内蔵マイクでもクリアに声を収録しつつ動画撮影を実現する他、動画撮影時に被写体の背景をぼかす「Cinematic Blur」、写真のブレを軽減する「Photo Unblur」、ベストな自撮りの構図を教えてくれる「Guide Frame」、ナイトモードの高速化などもG2のパワーで実現している。

 特に、実用的なのがPhoto Unblurだ。日本だと「ブレ軽減」という機能名だが、Pixelで撮影していない昔の写真なども、ブレを取り除いてくれる。ミラーレスカメラで撮影した夜の猫写真と鉄道の流し撮り写真で試したが、細かくブレてもやっとしていた写真が、輪郭がはっきりしクリアになっている。

【クリックで拡大】写真のブレを強力に補正する「Photo Unblur」。α7R IIIで撮影した写真を取り込んで使ってみた。左が適用前、右が適用後
【クリックで拡大】猫の写真でもテスト。こちらもα7R IIIで撮影。左が適用前、右が適用後

ズームの画質を大幅改善

 フロントカメラは800万画素から1080万画素のF2.2レンズに刷新され、4Kビデオや超広角での撮影が可能になった。一方、メインカメラは5000万画素の広角と1200万画素の超広角で変更はないのだが、センサーの扱い方が大きく変わった。それが2倍ズームだ。

 Pixel 6では、4つのピクセルを1つに統合することで、ダイナミックレンジや高感度性能を引き上げる「ピクセルビニング」技術を活用していた。5000万画素のイメージセンサーを1250万画素として使うため、2倍ズームする際は、1250万画素から約300万画素にクロップし、Googleならではの超解像を施すことで劣化を抑えた1250万画素の画像を生成していた。

 一方でPixel 7の2倍ズームは、5000万画素モードから1250万画素にクロップする方式に変わった。解像度を維持したまま2倍ズームが可能となる。同じ仕組みは、iPhone 14 Proの2倍ズームでも採用されている。

 1ピクセルあたりの受光面積が大幅に減るため、ダイナミックレンジや高感度性能は、ピクセルビニング時から落ちるものの、Tensor G2の独自ISPとGoogleのアルゴリズムにより、画質の劣化を改善。解像度と画質を両立している。

2倍ズームのときはビニング処理せず5000万画素をクロップする

 作例のクレーン写真は、どちらも2倍ズームで撮影している。Pixel 6は超解像の関係上、線が太くなり細かい部分を描き分けられていないが、Pixel 7は実解像度のおかげかディティールも細かく再現している。とはいっても、Pixel 6の超解像も十分にクオリティは高い。

【クリックで拡大】左がPixel 6、右がPixel 7
【クリックで拡大】Pixel 6(写真左)も300万画素の写真から生成した超解像写真にしては画質は安定して良いのだが、Pixel 7の2倍ズーム(写真右)と比較すると、ワイヤーの描き分けが甘い

 そして、今回Pixel 7がピクセル面積を捨ててまで高解像度に振ったのは、望遠ズーム時の画質向上にありそうだ。Pixel 6は、1250万画素のセンサーとして使っていたため、最大の7倍ズーム時は、センサーから取得できる解像度がVGA程度まで下がる。ここから1200万画素を生成するわけだが、Googleといえどソースの限界からか結構溶けてしまう。

 一方で、Pixel 7は5000万画素のセンサーとして扱うので、7倍ズームでもXGA以上の画像をセンサーから取得できる。これをベースに超解像をかけるため、仕上がりはPixel 6より断然良くなる。同じセンサーを使っていても、カメラとしての使い勝手はPixel 7でだいぶ高まった印象だ。

【クリックで拡大】左がPixel 6、右がPixel 7の7倍ズーム時の画質

 ズームの説明にスペースを割いてしまったが、Pixelならではのポートレートモードや強力な動画手ブレ補正は7でブラッシュアップされている。静止画・動画をきれいに撮影できるカメラとして順当に進化していると感じた。

 個人的には、シネマティックな質感になる24fpsが動画撮影で選べたらと長年思っているのだが、7でも30fpsと60fpsからしか選択できなかった。「Cinematic Blur」も実装したのにちょっともったいない部分だ。iPhoneは昔から24fpsが選択でき、14/14 Proでは動画撮影でボケ味を加える「シネマティックモード」が4Kに対応した。24fpsにも対応するため、より映画らしい質感で撮影できる。

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