実際、この直前まで、同様のものはシリコンバレーのスタートアップである「Midjourney」が話題をさらっていた。MidjourneyはDiscordで言葉で指示するだけで画像を描いてくれるサービスで、これによって描かれる絵が非常に良くできているということで大きな話題になっていたのだ。
Midjourneyの利用料金は月額20ドル程度とネットサービスにしては高い方だ。しかし当代一の画像生成AIを使えるとあって非常に人気を呼んでいた。
一般公開に先立ち、Stable Diffusionを開発した英国のスタートアップ企業Stability.AIは、Stable Diffusionのデモンストレーションとして「Dream Studio」というサービスを発表。こちらはポンド立てで、やはりネットサービスとしては高価な価格設定で提供していた。
普通に考えれば、Stable Diffusionのように、高い収益を生むサービスの根幹を成す部分、すなわち画像生成AIの設計図にあたるソースコードや、その学習済みモデルを公開することは経済合理性に反するような気がする。
実際、「本当は何カ月もAIを一般公開しないのではないか」という懸念を持つ人も少なくなかった。そもそも画像生成AIは、学習するだけで数千万円から数億円規模のGPUパワーを必要とする。何億円もかけて学習したAIを、無償で公開するというのはちょっと尋常なことではない。
しかしそれでも敢えて公開に踏み切ったのは、Stability.AIが画像生成AIの可能性を単なる「面白いAI」を大きく超えるという目論見があったからだろう。
そして「世界変革」は実行され、実際に想像を絶するスピードで世界は変革を始めた。そのスピードは、とても追いきれないほどである。
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