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ご褒美に高級キーボードという選択 「REALFORCE R3S」の30gと45gを試してみた小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)

» 2022年10月27日 16時30分 公開
[小寺信良ITmedia]
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スイッチの反応位置を変えられるハイテクっぷり

 キーのONは、各スイッチの静電容量の変化で決まる。R3シリーズではこの特性を利用して、どれぐらいキーを押し下げたときにONになるかを、設定で変更することができる。この機能を、APC(アクチュエーションポイントチェンジャー)と呼んでいる。

 ON位置は、0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mmの4段階で変更できる。キー全体のストロークは、4.0mmだ。Fnキーと上アローキーを押すことで、0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mm、マニュアル設定1、マニュアル設定2が切り替えられる。

 0.8mmにすれば、軽く触るように押すだけで入力される。隣の人が急に接客電話を始めたみたいなとき、そーっとタイプして音を消すみたいな使い方もできる。とはいえ、もともと静音スイッチなのでそれほどやかましい音が出るわけではない。一般的には、1.5mmか2.2mmぐらいで使うのが普通だろう。3.0mmにすると、軽く押していると入力されない時がある。

 さらに設定ソフトウェアを使うと、各キーごとに反応値を変える事ができる。例えば人差し指や中指が担当する位置は深めで、小指が担当する位置は浅めで、といった設定が可能だ。これはある意味、キー荷重の偏荷重に変わる機能といえる。

キーの反応位置を各スイッチごとに設定できる

APCは、45gモデルでは特に効果が分かりやすい。このぐらいの荷重があると、表面を触るようにも、押し込むようにも変化が付けられるからだ。一方30gモデルでは、そもそも押下抵抗が少なく、力を入れなくてもキーが下がるので、0.8〜2.2mmぐらいまではあまり違いは分からない。とはいえ、ちょっと当たったぐらいでは反応して欲しくないキー、例えば筆者はCaps Lockに設定しているが、こうしたキーのみ3.0mmに設定するというだけでも、誤入力をずいぶん減らせる。

 このキーマップは、保存する事ができる。気に入った設定ができたら、別のR3シリーズにロードすることができる。会社と自宅で同じ設定で使いたいといった場合には、便利だろう。

 また専用アプリでは、どのキーをどれぐらいの頻度で使用したかを表す「ヒートマップ」を表示することができる。これで頻度の高いキーから反応位置を浅くするといったマップを作れば、より疲労度が少ない設定に成長させることができる。

どのキーをどれだけ使ったかのログが取れる

 またキーマップの変更も、使いたい機能をキーボードの絵柄へドラッグ&ドロップすることで簡単に実現できる。Macユーザーも特別な常駐ユーティリティーなしで、CommandキーをControlキーへ割り当てることができる。例えばCaps Lockを使いたくなければ、キー自体を無効にすることもできる。

使いたい機能をキーへドラッグ&ドロップするだけで、キーマップが変更できる

 従来キーボードの設定変更は、裏側のディップスイッチを変えるとか、特定の組み合わせでキーを押すといった方法が主流だった。だがこうした専用アプリで細かい設定が変更できると、この機能がない、ここが気に入らないといった細かい不満が解消される。「キーボードをいじる」は、ハードウェアからソフトウェアへ移ってきた。

 というわけで、ここまで45gと30gを入れ替えながら書き進めてきたが、個人的には30gの個別カスタマイズの線で落ち着きそうだ。やはりこれだけキーが軽いのは、物理接点方式ではなかなか実現できないところで、指が楽である。

 静音モデルは2万3100円と、キーボードとしては決して安くはないことは承知だが、いいキーボードはまず10年は使える。1年2300円だとしたら、高い買い物ではない。実際19年前に買ったRealforce101をUSB変換機を経由して接続したら、ちゃんと全キー問題なく使えた。同時期に使っていたメカニカルキーボードの大半がすでに入力できなくなっていることを考えれば、この耐久性こそが、静電容量式キーボード最大の特徴である。ある意味10年使うものとなるとどれを選ぶか悩むところではあるが、REALFORCEなら店頭にサンプルが並ぶだろうから、じっくり触ってみるといいだろう。

 また文章を書く人だけでなく、グラフィックスアプリでキーボードショートカットを多用するクリエイターにもお勧めしたい。そもそも筆者がキータッチにこだわるようになったのも、オンラインビデオ編集システムの専用キーボードのタッチが悪いことに悩まされたことが原因である。クリエイティブ系のソフトは米国製が多いため、ショートカットはJIS配列だとうまく動かないことがある。そんなときは迷わず、英語配列だ。

 「いつかはREALFORCE」と思っている方もいると思うが、もう今年は十分頑張っただろう。やる気アップのためにも、ご褒美キーボードは必要経費と考えてはどうだろうか。

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