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「いずれ、バーチャル世界は現実を超える」 AIベンチャー→メタバース 30歳連続起業家の視線(2/4 ページ)

» 2022年11月04日 09時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

「人がより自由に生きられるバーチャル世界」を

 「デジタルテクノロジーが発展していく一方で、現実世界は進化していくわけではない」。島田さんは言う。

 リアル社会には物理的な限界があるが、メタバースにそれはない。だからこそ、現実と両立し、それを超える可能性がある。

「人がより自由に生きられるバーチャル世界」を実現したいという。

 自由……性別や人種に縛られない自由、煩わしい人間関係にとらわれない自由、仕事に行かなくてもいい自由。メタバースでは現実を超えた、自由な生き方が選べる。

 ずっとメタバースにいてもいいし、現実世界と“両立”してもいい。週3日は現実の会社で働き、週2日メタバースで働く。そんな生き方があってもいい。

 “自由に生きられるメタバース”実現に必要な要素は3つあると、島田さんは考える。ずっといたいと思える楽しい場、尽きないコンテンツ、そして「お金」だ。

「お金」が変えるメタバース

 FF 14のようなMMORPGには、毎日何時間も浸るユーザーが数多い。「ずっといたい」と思える場に、既になっている。

 一方で、遊び続けるにはお金がいる。サーバ代など仮想空間で消費するお金だけでなく、現実社会の“体”も養っていかなくてはならない。お金がないと、メタバースに浸りきることもできない。そのお金を、メタバースで稼ぐことができないか。

 稼いでいる人も一部にはいる。アバターの衣装やモーションを売る人がいたり、換金可能な「トークン」が流通するブロックチェーンゲームもある。

 ただ、前者は参加できる人がデザイナーなどごく一部に限られる。後者は安いうちにトークンを買い、値上がりしたら売り抜けるなど投機目的での参加者が多く、「持続的な経済性を実現できているゲームは少ない」(島田さん)。

 それでも、メタバースで“稼ぐ”鍵はブロックチェーンになると考えている。問題は実装方法だ。投機的な仕組みにせず、メタバースで暮らしたり楽しむことにトークンを介在させることで、現実社会に近いお金の流通を可能にしたいという。

 例えばスポーツビジネスのようなイメージだ。サッカーなら、観戦するファンがチケット代を払うことで選手が稼いだり、サッカー用具を販売したり、サッカー教室を開いたり、それぞれの役割で仕事があり、経済が回っている。メタバースでも、プレイヤー同士でお金が回る仕組みは作れるのではないか。

ゲームをすることでお金が稼げる「Play to Earn」の先には、スポーツのようなエコシステムがあるのではないか? とみる

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