ITmedia NEWS >

「いずれ、バーチャル世界は現実を超える」 AIベンチャー→メタバース 30歳連続起業家の視線(3/4 ページ)

» 2022年11月04日 09時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

 今後は、ブロックチェーンゲームに大手ゲームメーカーも参入する見通しだ。何時間でもプレイできるほど面白く、かつ、現実世界と同じようにお金を稼ぐことができるメタバースがあと数年内に実現していくと島田さんみており、同社もその一つを作りたいという。

 課題もある。メタバースで“暮らす”ようになる最初の人々は、現在、MMORPGにどっぷり浸かっているゲーマーである可能性が高い。だが彼らは、ゲーム内のアイテムを現実世界で販売して“ゲームで稼ぐ”(RMT)ことを極端に嫌う。

 お金が流通して「生活できる」メタバースの実現には、RMT的な負のイメージの払拭が必要だ。「その壁をぶち破ったプレイヤーが、トップに出るのではないか」(島田さん)

最初の一歩はオフチェーン

 同社はまずPC向けに、オフはチェーン(ブロックチェーンを使わない)の面白いゲームを作ることから始める。そこで開発力・資金力をつけ、次にブロックチェーンやメタバース要素のあるゲームに挑戦する計画だ。

 第1弾として、ローグライクアクション「MISTROGUE」を開発中だ。グローバルゲームプラットフォーム「Steam」で人気のゲームジャンルを参考に、爽快な戦闘とビルド(能力や装備)の探求両方が楽しめるゲームを目指している。

開発中のローグライクアクションゲームMISTROGUE

 島田さんは子どものころからのゲーム好き。中学生のころには個人でゲームを作り、公開したこともある。ただ、会社規模でゲームを開発するのは初。Webサービスとは開発過程も違い、悩むこともあったという。

 例えばゲームは、遊んでいる時の“気持ちよさ”が重要だったり、グラフィックスや音楽をチェックする必要があったり。Webサービスにはない要素が満載だ。

 Web出身だからこその強みもある。例えば、開発中のサービスをユーザーに利用してもらい、フィードバックを得てサービスを深めるアジャイル開発。これをゲームにも採り入れた。

 現在、MISTROGUEの“売り”としてアピールしているリアルタイムのステージ生成機能は、開発版プレイヤーからの「物足りない」という反応を見て、付加したものだ。

 ゲームの完成は2023年2月の予定。英語と日本語、中国語、韓国語でリリースし、最初の半年で黒字化させる計画だ。その後は開発ノウハウと資金をつぎ込み、ブロックチェーンゲームやメタバースを開発していく。

 大学院ではAIを専門で学び、AIで最初の起業を成功させた島田さんは、メタバースにもAIが不可欠になると考えている。「『ソードアート・オンライン』みたいに、AIを使ってNPCがしゃべれたり、3Dモデルを作るときにAIがアシストしてくれたり……」。アイデアは尽きない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.