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シリコンバレーのエンジニアが転職時に使う「表と裏のSNS」 働く社員の本音はどう探る?シリコンバレーから見た風景(1/2 ページ)

» 2022年11月11日 09時00分 公開
[五島正浩ITmedia]

 シリコンバレーのIT企業に勤務する五島正浩さんが見た現地のテック動向を紹介する連載「シリコンバレーから見た風景」。第20回は、シリコンバレーのエンジニアが転職時に活用するプロフェッショナル向けSNSを紹介します。


 こんにちは。シリコンバレーのエンジニアというとどんなイメージをお持ちでしょうか? やはり開発チームでコーディングをしている花形のソフトウェアエンジニアを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際にはハードウェアのエンジニアもいますし、テスト、運用、サポート等々さまざまな役割のエンジニアが活躍しています。

 シリコンバレーの企業は激しい競争環境に置かれていて、常に成長が求められます。これはエンジニアも同じです。バリバリとエンジニアの業務をこなす傍ら、自分のキャリアアップについて真剣に考えなければいけません。どうすれば自分をより高められる新しい仕事を見つけられるのか、またどうすればジョブレベルを上げてより高い報酬が得られるのか。今回はそんなシリコンバレーのエンジニアが使っているプロフェッショナル向けSNSを紹介したいと思います。

誰もが使うLinkedIn

サニーベールのLinkedIn本社にて撮影

 まずは米LinkedIn。LinkedInはプロフェッショナルのためのSNSで、今は米Microsoftの子会社になっています。日本で使っている方もいるとは思いますが、シリコンバレーでは重要なインフラになっていて、エンジニアのほぼ全員が使っていると言っても過言ではないでしょう。私の周りでTwitterやFacebookを使わないと公言している人たちでもLinkedInは普通に使っています。

 基本的には同じ会社で働いた上司や同僚、また仕事で知り合った社外の人などと実名でコネクションを作っていくSNSです。シリコンバレーでは日常的に転職が行われているので、LinkedInで一度つながっておけば後々どの会社に移っても連絡を取ることができます。また自分のプロファイルは職務履歴になっているので、これを見ればいつどの会社で何の仕事をしていた人なのか、また共通の知人がいるのかなどを把握できてとても便利です。タイムラインには元同僚、勤務先の幹部、フォローしている企業のアップデートなどが次々に表示されるので自分の仕事に関連する分野の最新動向を把握するには効率が良いです。

 以前に勤務先の資格試験に合格したことをLinkedInにポストしたら、昼間の仕事時間にもかかわらず上司や同僚などがすぐに「Like」を押してくれたことがありました。さすがに誰も見てないだろうと思っていたのでびっくり。まるでTwitterやFacebookのような感覚でLinkeInのタイムラインを頻繁にチェックしてる人も多いようです。

LinkedInを使った仕事探し

 LinkedInはジョブサーチの機能が充実していて多くの求人情報が登録されています。自分のプロファイルに合うものを見つけて通知してくれるので、傾向を把握するのにとても役立ちます。要求条件とピッタリとマッチングできれば採用までたどり着くことができますが、現実はそう簡単ではありません。応募してもレジメやプロファイルを見てもらうことすら無いことが多いでしょう。

 やはり仕事探しに一番役立つのは昔一緒に働いた元同僚や上司のコネクションです。求人をしている会社に勤めている知人にリファラルとして推薦してもらうことで可能性がぐっと高まります。推薦人を介してチームや仕事の様子を知ることができますし、企業側も推薦人がいることでミスマッチのリスクを下げられます。そして採用にいたれば仲介した推薦人に企業からリファラルボーナスが支給されます。このようなリファラル採用は一般的な社内制度になっており、日本でも導入されていると思います。

 LinkedInはこのリファラル採用と相性がとても良いです。新しくエンジニアを採用することになったマネジャーはその求人情報をタイムラインに「Now we are hiring!」と書いて投稿します。そしてそれを見た同じ会社の人たちが、自分のコネクションに興味を持つ人がいるかもしれない(つまり、リファラルボーナスがもらえるかもしれない)と考えその投稿をシェアします。タイムラインでこの投稿を見つけた社外の知人が「久しぶりだけど元気?このポジションについて話聞かせて。ランチでもどう?」とコンタクトして話が始まる流れです。

 実際、私も現在の仕事をこの方法で見つけました。昔一緒のチームで働いた友人がLinkedInで求人情報をシェアしていたので、連絡を取ったところ推薦してもらうことができました。彼がかなり良い感じで社内で話を進めてくれたおかげで、難関のインタビューもスムーズに進み私は無事採用、そして彼はリファラルボーナスを手にしました。持つべきものは信頼できるコネクション、そしてそれを支えるLinkedInは偉大だと痛感しました。

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