それだけに総務省が、このプラチナバンドの再割り当てにどのような結論を下すのかが注目されていたのだが、2022年11月8日に公表された先のタスクフォースの報告書案を見ると、楽天モバイルの主張がほぼ受け入れられ、3社の主張を突っぱねる内容となっている。
まず争点の1つとなっていた、再割り当てされた事業者へ周波数を移行するための期間についてだが、報告書案では標準的な周波数の移行期間が5年間。プラチナバンドの場合はレピーターの交換が必要になることから、それを勘案して5年を超える移行期間を設定できるとされている。
一見すると楽天モバイルの「1年以内」という主張が認められなかったように見えるが、実は楽天モバイルは先のタスクフォースの第12回会合で、エリアを区切るなどして準備ができた場所から順次工事を進め、10年かけて徐々に移行するという案を提示していた。徐々に移行するのであれば、場所は限定されるが比較的早い段階からプラチナバンドを利用できるし、移行期間も5年以上とされているので、当初想定の10年より早く移行が進む可能性が高い。楽天モバイルに有利な内容と見るのが妥当だろう。
そしてもう1つの工事にかかる費用負担についてだが、報告書案では「既存免許人の負担を原則」とされ、こちらは完全に楽天モバイルの主張がそのまま受け入れられた形となっている。
楽天モバイルが「不要」と主張していたフィルターについても、設置することで「通信品質を向上させる一定の効果が確認できた」とする一方、「フィルター挿入を行わないことで既存免許人の無線局の運用が継続的に阻害されるとは言い難い」「フィルターの挿入は技術基準で規定されていない」ことから「必須の作業とはいえない」としており、やはり楽天モバイルの主張を全面的に受け入れていることが分かる。
ちなみにレピーターの交換や基地局の増強などについては、再割り当てされる側がお金を支払って工事を早める「終了促進措置」を活用できるとしている。ただ2022年11月11日に実施された楽天グループの決算説明会で、楽天モバイル代表取締役社長の矢澤俊介氏は「使うつもりはない」と明確に否定しており、楽天モバイル側はプラチナバンド再割り当てに関する費用を一切負担しない姿勢のようだ。
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