コダックの「KolorUp Lens Physical Support Color」(以下、フィジカルサポートカラー)は、見ている色によって、体幹が安定したり不安定になったりするという“身体機能の変化”を応用した製品。平たくいうと、その人に合った色のレンズを使ったメガネを掛けるだけで疲れにくくなったり、集中力が増したりするという、もはや魔法なのか的な、中々にうさんくさい話なのだけど、実はこれが馬鹿にしたものではないのだ。
この製品のデモンストレーションを兼ねた体験ブースが10月中旬に開催された「iOFT」(国際メガネ展)にあって「何だか奇妙なことをやっているな」と思って話を聞いてみたのが、私がこの製品を知ったきっかけ。とにかく体験してほしいというので、よく分からないまま試してみたらビックリしたのだ。
まず色の付いた紙を見て、その後、片足立ちになったところを、スタッフのお兄さんが、足を上げている方の肩をぐっと下方向に押す。色を変えて、また繰り返すというだけのシンプルな実験なのだけど、見た色によって肩を押された時の身体の安定感が全く違うのだ。ある色を見た後だと、押されるとすぐにふらつくのだけど、別の色だとビクともしない。こちらは特に力を入れているわけでもないのに大きな差が出る。
さらに面白いのは、この色は体幹を安定させると決まっているのではないということ。人によって効果が出る色は違うし、左右の目でも違う場合がある。さらに、例えば赤が安定する色だからといって、それに似た色ならいいかというとそうでもなく、青と黄色だと効果が出るとか、赤と白だと効果が出る、といった感じで、決まった法則は今のところ見つかっていないのだそうだ。
個人的には、すごく個人差があるけれど効果自体は確かにある、という現象自体がとても面白かったので、これは詳しい話を聞かなければとその場で取材を申し込んでいた。きちんと製品として、コダックという大きなブランドで全国に流通させているというのも面白いと思ったのだ。
フィジカルサポートカラーのインストラクターを務める、エスエイビジョンの坂谷大輔さんは、この製品の発売に至る経緯を話してくれた。「エスエイビジョンは、基本的にレンズを卸しているメーカーで、イノチグラスさんという、視力矯正だけではない、メガネによる様々な取り組みをされているメーカーさんと取引が始まったのが、この企画のスタートでした」という。
「イノチグラスさんでは、発達障害のお子様の学習支援とか運動支援といったことにメガネを使う取り組みをされていて、具体的な話をうかがうと、『レンズカラーで体幹の変化を確認しながらメガネレンズの選定をしていくんですよ』というお話でした。カラーレンズで体幹が安定することで、姿勢が良くなったり、読み書きがしやすくなったりといった効果があるということでした。その測定方法を使えば、スポーツ・サングラスなどへの応用が利くのではというところで、ライセンス契約をさせて頂いたんです」と坂谷さん。
イノチグラスでは、カラーレンズ以外にも様々なアプローチによって、視覚と身体や心の関係を探っているが、エスエイビジョンは自分たちの顧客でもあるメガネ店向けの製品として、カラーレンズによる体幹の安定をサポートするという方向に絞って商品化することにした。その企画をコダックが採用し、コダックブランドで販売を始めたのがフィジカルサポートカラーだ。
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