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「言いがかりともいえる内容」 三才ブックス、鳥取県の“有害図書”指定理由をPDF公開

» 2022年11月30日 12時25分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 一部の出版物が鳥取県から有害図書指定を受け、Amazon.co.jpで販売できなくなった件を巡り、三才ブックス(東京都千代田区)は11月25日、鳥取県から届いたという指定理由についての文書を公開した。県の説明に対し、同社は「『言いがかり』ともいえる内容だった」と指摘。県の対応に疑問を呈し、同社の見解をまとめている。

三才ブックスが公開した文書(1/5)

 文書によると、鳥取県は3冊の書籍が改正した少年健全育成条例の第13条第1項第2号「著しく青少年の粗暴性又は残虐性を誘発、助長し、その健全な成長を阻害するおそれのあるもの」に該当するとしている。

 例えば「裏グッズカタログ2022」では、つまようじを発射できる弓矢形の玩具「つまようじクロスボウ」を紹介している。これに対して県は「安価で購入できることや組み立て手順を記載している」と指摘。条例に定める有害図書類の指定基準のうち第2項第2号「殺人、強盗、傷害、暴行その他の反社会的行為の準備や実行行為の手段、経過を詳細かつ著しく刺激的に表現しているもの」に該当するとした。

 三才ブックスは「いくらなんでもつまようじで殺人や強盗は不可能。飛躍し過ぎ」と反論。他にも県は3冊の書籍から12カ所の記述を問題視していたが、三才ブックスはその全てに対し「『言いがかり』といえる内容で、なんとしても有害図書に指定したことに対する正当性をアピールしたいという強い意志を感じた」としている。

鳥取県の有害図書に関する指摘と三才ブックスの見解(2/5)
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 また鳥取県の有害図書指定の規定には『全体的な内容が殺人、暴力等を興味本位に取り扱うことを主眼としていると認められるもの」とある。しかし指定理由に当たるとしている記事は3冊とも書籍全体の10%以下だった。

 三才ブックスは「これをもって『全体的な内容』とするのは、あまりにも無理筋」と疑問を呈す。「にもかかわらず、審査員5人のうち4人は有害指定に賛成と投票している。となると、審査員に対し条例や規定についてきちんと事前の説明があったのかという問題が浮上してくる」(三才ブックス)

審査のために購入した10冊のうち9冊が有害図書に

 鳥取県が1月に実施した有害図書の審査部会では、三才ブックスの書籍を含む9冊が有害図書に指定された。しかし三才ブックスが取り寄せた鳥取県の購入記録によると、審査のために購入した書籍は10冊だった。

 三才ブックスは「鳥取県が主張していた内容と食い違いが生じている。4月に担当課の職員と電話で話した時には『無作為に選んだ』と発言していた。そうではなく、実際は10冊の書籍を選ぶに当たり、事前に報告を受けて下調べをしていたということになる」と指摘する。総務省の統計によると、書籍は1年間で約7万点刊行されている。

 また、書籍を購入した職員が店頭で試読し、指定基準に照らして検討した上で購入している可能性があるとも言及する。「10冊のうち9冊が有害図書指定されていることを踏まえると、購入時点で既に職員による恣意的かつ独善的な審査があったことになり、条例の取り扱いが正当であるという主張は厳しいと言わざるを得ない」(三才ブックス)

審査のために購入した書籍は10冊だった(5/5)

ヤクザ映画を見たらヤクザになるわけではない

 きっかけは2022年2月ごろ、有害図書に指定された「アリエナイ医学事典」の著者がAmazon.co.jpから同書籍の掲載がなくなっていることに気づいた。アマゾンジャパンに問い合わせると、鳥取県によって青少年に有害な図書として指定されたため掲載中止になったことが分かったという。

 三才ブックスが鳥取県に対して有害指定審議の議事録を求めると会議概要のみ届き、具体的な指定理由は示されなかった。県の姿勢に疑問を持った三才ブックスは8月、「鳥取県に有害図書指定の理由を聞いてみた」という文書を公開。県の対応に対して「鳥取県で本を販売することが、もはやリスクといえる事態」と疑問を投げかけた。今回の文書は、その後に改めて届いたものだ。

 三才ブックスは文書の中で青少年健全育成条例の意義についても触れている。「海賊マンガを読んだら海賊を目指すわけではなく、ヤクザ映画を見たらヤクザになるわけではない。多様な情報に触れ、取捨選択しながら清濁併せ飲むことが、青少年の健全な成長には必要なのではないか」。

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