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Visonal編:グループ経営体制の上場企業はどんなSaaSを使っている?あの会社が使うバックオフィスSaaS(2/3 ページ)

» 2023年01月13日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
Visonalが導入しているSaaSの概要

スピーディーに業務をこなすため、freeeを導入

 グループ経営体制に移行する際、各社が個別に経営の意思決定を行えるよう、バックオフィスも一部を各社で分割した。このとき、事業規模がまだ大きくないインキュベーション事業を行う会社においては、承認システムであるワークフローも、会計システムに合わせる形でfreeeの導入を進めた。

 「ビズリーチ以外の新規事業は、そんなに人数も多くない。スピーディに業務をこなすために、また事業変化に追従できるよう平易に変更可能であることを要件とした。とはいえ、グループ全体で上場企業として監査などの基準を満たすことが必要となる。また将来的に各システムとの連携を考慮し、APIが整備され、ドキュメントが詳細にあることを基準とした。そこで両方とも実績があるfreeeのワークフローを選定した」と、IC室の祖川慎治氏は背景を説明する。

 意図通り、承認スピードは圧倒的に短縮された。特に評判がいいのがSlackとの連携だ。「システム管理者がSlackにfreeeのアプリを設定するだけで、申請が各個人のSlackにDMで通知が来るため、利便性が高く、承認までのリードタイム短縮を実現した」(祖川氏)

IC室の祖川慎治氏

 会計もfreeeだ。17年当時、すでに議論が始まっていたグループ経営体制に向けて、各社が個別に導入する会計ソフトの選定も始まっていた。当時、違う会計ソフトを使っていたが限界を迎えており、変更は必須だったという。「freeeですべてが行えるとは思っていなかったし、そこまで期待もしていなかったが、POCを実施した結果、各社それぞれfreeeを導入することに決定した」と祖川氏。

 規模の小さい新規事業会社だけでなく、組織規模の大きいビズリーチもfreeeに統一した。各社の決算データを集計して連結する中で、データやインタフェースが異なっていると混乱する。「間違える要因にしたくない」(祖川氏)ことが理由だ。なお、freeeは連結会計に対応していないため、そこだけは別のソフトを使っている。

 ただしグループ経営体制ならではの悩みもある。連結を考えると、グループ各社で費目を共通にしておきたいが、freeeは導入した各社ごとに別々の設定ができてしまう。「グループ各社で導入したfreeeの間で連携を強化してほしい」というのが要望点だ。

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