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富士フイルム「X-T5」はスチル撮影に軸足を置いたハイエンド機荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/5 ページ)

» 2022年12月10日 08時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 「Xマウント」誕生10周年(つまり富士フイルムがミラーレス一眼を手がけてから10周年だ)の今年、「X-H2S」「X-H2」とフラッグシップ機を立て続けに発表した富士フイルムであるが、性能的には素晴らしいものの、「え、今まで主力だったX-Tシリーズはどうなるの?」と思った人も多かった。X-H2シリーズは「X-T4」とはかなりテイストが異なる製品だったからだ。

 しかし、11月に発表された「X-T5」は予想以上にX-Tだったのである。メディア向けの説明会で出た「Photography First」という言葉が全てを表している。

ハイエンド機ながら小型軽量のX-T5。レンズは同時に発表された「XF30mmF2.8 R LM WR Macro」を装着

 フラッグシップ機として登場したX-H2/H2Sは動画と静止画の両方に軸足を置いた製品だった。もちろん写真も撮れるけど、動画撮影にも力を入れており、操作系もそっち寄り。

 X-T5は逆に静止画に軸足を置いたカメラとして設計されたのだ。X-T4はちょっと動画系にも色気を出してたのだけど、X-H2/H2Sという動画寄りのフラッグシップ機を出したことで、本格的な動画はそっちに任せたー、おかげでX-T5は写真重視の設計にしたぜー、なのだ。

 写真メインの人にはありがたいよね。

 そしてX-T5は、バリアングル式だったの背面モニターを3軸チルト式に戻し(X-T2と3は3軸チルト式だったが、T4でバリアングルになってた)、中身は静止画の画質を重視ってことで4000万画素のX-H2をほぼそのまま継承して登場したのである。

向かって左がX-T5、右がX-T4。同じテイストを引き継ぎながら大きさや細かいデザインが違うのがミソ

 その上ボディはX-T4より一回り小さく軽くなるなど、一見マイナーチェンジっぽいけど、実はフルモデルチェンジを果たしていたのだ。

 並べて見ると、デザインテイストやボタン・ダイヤル類の位置は引き継ぎながら、ボディサイズやペンタ部のデザインが大きく変わっているのが分かる。

フォトグラフィーファーストな操作系がうれしい

 わざわざ「Photography First」をうたったのは、その操作系がX-H2/H2S(そしてX-S10)、さらには撮影モードダイヤル+電子ダイヤルで露出を決定するという一般的なデジタル一眼とは大きく違うからだ。

 これはX-T1から受け継がれている大きな特徴。

 撮影モードダイヤルがなく、その代わりに、左肩にISO感度ダイヤル、右肩にシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤル、レンズに絞りリングとそれぞれ専用のダイヤルが用意されているのである。

 特にISO感度と絞りリングとシャッタースピードダイヤルの3つが重要だ。

上面から。3つの専用ダイヤル+レンズの絞りリングの組み合わせがミソだ。昔ながらのケーブルレリーズに対応したシャッターボタンも良い

 ISO感度と絞りリングとシャッタースピードダイヤルの全ポジションを「A」にするとプログラムオートになる。

 絞り以外を「A」にすると絞り優先AEになる。その状態で「シャッタースピードをもっと上げたい」(あるいは下げたい)と思ったら、シャッタースピードダイヤルをぐりっと回して指定した速度にしてやればいいのだ(ダイヤルは1段刻みなので、ダイヤルにない細かい速度を指定したいときは電子ダイヤルを併用する)。撮影モードを変更して、っていう手間が不要なのである。

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