消費者庁は1月25日、ステルスマーケティング(ステマ)の法的定義と運用基準の案を公開し、意見募集を始めた。資料は政府情報サイト「e-Gov」で閲覧できる。募集期間は2月23日まで。
告示によると、ステマとは「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」のこと。
「ステマ」の法的定義
運用基準案では、「広告主が表示内容に関与したか」「広告であることが明確か」の2点について、判断基準を提示している。
ステマ規制においては、広告主となる事業者が表示内容の決定に関与したか否かを規制対象の判別基準の一つとする。関与があったと判断するのは以下のようなケース。
- 事業者自らが表示している場合
- 事業者自らが表示しているにもかかわらず、第三者の表示のように見せる場合
- 第三者に依頼してSNSやECサイトなどに商品やサービスについて投稿させる場合
- アフィリエイターに商品やサービスについて書かせる場合
- 他の事業者に依頼して競合商品やサービスの低評価レビューを書かせる場合
- 事業者と第三者の間に表示内容を決定できる程度の関係性があり、第三者が自主的に記述していると認められない場合
- 第三者に商品やサービスを無償提供するなどにより、事業者の目的に沿った表示を行わせている場合
- 第三者に経済的な利益をもたらすと感じさせ、商品やサービスについて表示させている場合
逆に関与があったと判断できないのは以下の通り。
- 第三者が自らの嗜好などに基づいて記述した場合
- 事業者と第三者の間に表示内容を決定できる程度の関係性がなく、第三者が自主的に表示していると認められる場合
- アフィリエイターによる表示だが、表示内容に広告主が関与していない場合
- 第三者が事業者のキャンペーンや懸賞に応募するために自主的に表示する場合
- 事業者が自社サイトに、第三者のレビューなどを、恣意的な抽出や文言の変更などをせずに掲載する場合
- 事業者が試供品を配布した結果、受け取った第三者が自主的に表示する場合
- 出版社やテレビ局などが、事業者の指示に左右されることなく表示内容を決定した場合
ステマ規制のもう一つの基準は、一般消費者から見て広告であることが不明瞭であるかどうかだ。対象になるのは以下のケース。
- (広告であると分かる)表示が記載されていない場合
- 事業者による表示であるにもかかわらず、その旨を記載していない場合
- 部分的にしか記載していない場合
- 文中で記載にブレがあり、主体が不明瞭な場合
- 表示時間が短い、文字が小さいなど記載を視認しにくい場合
- 一般消費者に伝わらない表現で記述している場合
- 他の情報に紛れ込ませている場合
逆に広告であることが明瞭であると判断できるのは以下の場合。
- 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの文言を使っている場合
- 「商品の提供を受けて投稿している」など文章で明示する場合
- 社会通念上事業者による表示であると明らかな場合
- CMのように番組と広告が切り離されている場合
- 広告欄のように他の情報と分離されている場合
- 事業者自身のWebサイトにおける表示である場合
ステマを巡っては消費者庁を中心とする「ステルスマーケティングに関する検討会」が検討を進めてきた。2022年12月27日には最終報告書を公開。ステマは規制の必要性があると結論付けた。
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