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「Twitter API有料化」の影響範囲は? 現状から予想できること(1/2 ページ)

» 2023年02月02日 19時30分 公開
[井上輝一ITmedia]

 米Twitterから2月2日に「Twitter APIの無料提供終了」の発表があった。詳細は来週発表するとしており、価格設定など具体的なことはまだ分からない。事態を受け、Twitterユーザーの間ではTwitterと連携するさまざまなアプリが利用できなくなるのではという臆測も広がっている。

 この記事では、現状からどんなシナリオが予想できるか、シナリオごとに影響範囲を考察してみたい。

米Twitter本社

全てのAPI利用が有料になる?

 まず、同社の開発者向けアカウントTwitterDev(@TwitterDev)からの発信を素直に読むと、現状Twitter社が提供しているTwitter API v2とv1.1の両方が無料では使えなくなるように読める。

 仮にそうなった場合、影響範囲は「Twitter APIを無料で利用しているアプリ・サービスの全て」になるだろう。例えばツイートを自動で投稿するbot、診断結果などをワンクリックで投稿するWebサービス、Twitter連携によるログイン機能、(クライアントについてはすでに廃止のアナウンスがあったが)クライアント含むサードパーティーアプリ全般、マーケティングや学術研究目的の検索API利用などが対象になりそうだ。

すでに有料APIを使っているサービスはある

 ただし、以前から有料APIを使っているサービスもある。例えば無料のAPIでは取得できるツイート数や時間当たりのリクエスト数に制限があるが、「Firehose」というAPIでは全量取得ができる。FirehoseをTwitter社と直接契約できる企業は限られているが、日本ではNTTデータがオフィシャルパートナーとして契約している。

NTTデータがTwitter社と契約している“全量取得”API

 NTTデータからTwitterデータを取得する契約をしているサービスは、例えば「FASTALERT」(JX通信社)、「Spectee Pro」(Spectee)、「Togetter」(トゥギャッター)、「Social Insight」(ユーザーローカル)などがある。

 これらのサービスはすでにTwitter社へ料金を払った上でサービスを提供していることから、仮に追加コストが発生したとしても提供には大きな問題がない可能性が高い。あるいは、ユーザーから料金を取るシステムを持っていればその値上げで済む。

 一方、特に有料のAPIも使っておらずユーザーへ無料提供しているサービスでは、有料化分は純粋にコストとして伸し掛かる。コスト分をユーザーから取ろうにも、課金システムを持っていなければ新規に開発・導入する必要がある。広告収入などがあったとしても、有料化によるコストと見合わなければサービス終了の判断もあるだろう。

検索APIのみが有料になる?

 全量取得できるFirehose APIの他にも、無料版の制限を超えて過去30日間のツイートを検索できる「Premium API」もある。つまり、Twitter社はこれまで「検索機能」の提供で収益を得てきた側面があるということだ。

 それを踏まえてTwitterDevの投稿を見ると、「Twitterデータは世界一のパワフルなデータセットだ」とも言及しているところから、実は有料化する部分は検索APIなど一部のみなのではないか、という予想もギリギリ立てられる。

 仮に検索APIだけが有料化する(無料版がなくなる)のであれば、投稿botやTwitter連携ログインなどは影響を受けない。しかし、マーケティングや学術研究などで検索APIの無料版を使っている場合は影響から逃れられないだろう。

 API利用によるツイートの投稿を阻害するのは、そのTwitterデータをやせ細らせることになるのではないか。Twitter連携ログインまで有料化しても、かえってTwitterユーザーを遠ざけるだけではないか……といった影響も考えてTwitter社(あるいはイーロン・マスク)の真意を推し量ると、来週の詳細発表でそういう情報が出てくる可能性もゼロではないだろう。

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