1つは「集団のパワーが形成しづらい」ことだ。コミュニケーションを盛り上げるには、多人数が接続できる空間が必要だが、現在のバーチャル空間でのイベントは、参加者は多いが体験空間は分断されているという。2つ目は「会話のきっかけを作ることが難しい」こと。偶発的な出会いが必要だとする。3つ目は「コミュニティの熱量を継続しづらい」こと。つながりやコミュニティを形成し、その熱量を継続するインセンティブが必要だとの分析だ。
この3つの課題に対し、ドコモではNTTグループの技術を活用しながら「超多人数接続技術」「価値観理解技術」「行動変容技術」という3つの技術の開発を進めている。
超多人数接続技術は、従来のように空間を個別に提供するのではなく、1つの空間に不特定多数のユーザーを大量に収容できる技術だ。従来のクラウドレンダリングには技術的なハードルが存在し、空間を複製してユーザーを分割する、あるいは空間を分割する手法が採られてきた。これを避けようとするとデータトラフィックが増加し、コストが増加することが課題になっていたという。
今回開発された超多人数接続技術では、1つの空間に最大1万人を収容できる構造を実現。サーバが端末から音声・映像データを受け取り、それをそのまま他の端末に配信するという技術によって、クラウドとユーザーの通信トラフィックを最適化する。また、新たに開発したクラウドレンダリング技術によって、従来の環境と比べて96%以上のGPU運用コストが低減。同一空間で多人数の共同体験を実現する。
価値観理解技術は「発話した内容や他人との関係性、表情などから読み取った感情を元に、人の内面に焦点を当てて理解する技術」、行動変容技術は「価値観理解技術で解析した情報を基に、高精度マッチング・レコメンドを提供する技術」だという。
なかなか理解が難しいが、この2つの技術はMetaMe内に登場するペットに組み込まれている。例えば、ユーザーがMetaMeにログインして、誰に話しかけていいか分からないときに、ペットが相性の良さそうな人のところまでユーザーを案内してくれる。あるいは、ログインしたのに誰もいなかったときには、他ユーザーの価値観を反映しているペットと会話でき、ペットとの会話の内容から話が合いそうだと感じたユーザーには、友だち申請を送ることができる。ペットを介して友だちの輪が広がっていくという。
「例えば、同じ動画を視聴しているときに、1人で退屈している場合は同じ価値観の人とマッチングする。多くの人との体験を求めている場合にはコミュニティとマッチングする。時と共に変化していくユーザーの置かれている環境や感情に合わせて、レコメンドやマッチングをしていく」(谷氏)
MetaMeには、NTTが開発した技術も盛り込まれる。取得した脳波を、アバターがまとうオーラとして可視化し、コミュニケーションを活性化させる技術も、MetaMeには試験実装された。
見ているものでオーラが変化することで、相手や自分の感情の変化が可視化されるという。これによって相互の関心や理解を深め、コミュニケーションを活性化させるという。
これらの技術の事業展開実証がMetaMeで行われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR