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赤、青、黄、“白”の4色信号機、米国の研究者が提案 交差点に自動運転車が多いと点灯 その意味は?Innovative Tech

» 2023年02月21日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2

 米ノースカロライナ州立大学に所属する研究者らが発表した論文「White Phase Intersection Control Through Distributed Coordination: A Mobile Controller Paradigm in a Mixed Traffic Stream」は、交差点内に多くの自動運転車が入ってくると白色が点灯する新しいコンセプトの信号機システムを提案した研究報告である。

 従来の信号機システム(青、黄、赤)に加えて、4つ目に白色を配置する。白色が点灯すると、非自動運転車の運転者は、青、黄、赤の交通ルールではなく、前方の自動運転車に従わなくてはならない。

白色信号機を導入した際のイメージ図

 自動運転車と非自動運転車が混合した世界に突入している。伴って既存のルールやシステムも自動運転車の比率が多くなるにつれ、適宜変えていかなければならない。信号機システムもその一つである。

 この研究では、既存の信号機システムの拡張として、自動運転車が混合した際の信号機システムを提案する。従来の青、黄、赤の3色の信号機に、自動運転車を優先した白色の信号機を4つ目に導入するというコンセプトである。

 この白色信号機は、交差点に一定以上の多くの自動運転車が入り込んだ場合に限り点灯する。そして自動運転車の数が少なくなると、通常の信号機システム(青、黄、赤)に切り替わる。

 白色信号機は自動運転車が“見る”のではなく、非自動運転車を運転するドライバーが見るものになる。運転手は、白色信号機を見ると、通常の信号機システム(青、黄、赤)の交通ルールではなく、交差点内の車両、つまり前方の車両の動きに従って運転しなければならないルールを守らなくてはならない。前方の車が止まれば自分も止まり、前方の車が交差点を通過すれば自分も交差点を通過するといった具合である。

 ちなみに、白色に拘りはなく運転手から認識しやすい色だからという。

 白色信号機は交差点に入ってくる自動運転車と通信し合い、分散コンピューティングで処理する。この方法は、集中型コンピューティングより効率的であり、通信障害も起こりにくい。例えば、信号機との通信に中断やタイムラグがあっても、分散コンピューティングのアプローチなら交通の流れをスムーズに処理することができるという。

 では、なぜ白色信号機を導入する必要があるのか。それは交差点での滞在・移動時間が大幅に短くなり、燃料消費量も削減されるからだという。

 白色信号機の性能を検証するために、交通シミュレーターを使用した。このシミュレーターは、実際の交通を個々の車両の挙動に至るまで再現するように設計された複雑な計算モデルである。

 このシミュレーターを使って、白色信号機のある交差点と白色信号機のない交差点での交通挙動を比較し、関係する自動運転車の台数がその挙動にどのような影響を与えるかを検証した。

さまざまな信号機の組み合わせをシミュレート

 シミュレーションの結果、白色信号機のある交差点の方が、車両が交差点を速く移動し、燃費の数値も良くなった。交通量が10〜30%しかない場合は、交通流の改善は比較的小さいが、自動運転車の割合が増えるにつれて効果も大きくなった。例えば、10%の車両が自律走行した場合には遅延は3%減少し、30%の車両が自律走行すると遅延は10.7%減少した。

Source and Image Credits: R. Niroumand, L. Hajibabai and A. Hajbabaie, “White Phase Intersection Control Through Distributed Coordination: A Mobile Controller Paradigm in a Mixed Traffic Stream,” in IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems, doi: 10.1109/TITS.2022.3226557.



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