ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

AIに記事丸ごと執筆させてみた 記者の仕事を奪えるか? Notion AI「人間は人間にしかできないことをするべき」いじって楽しいAI図鑑

» 2023年02月27日 16時45分 公開
[谷井将人ITmedia]

 AIの進歩により私たちの生活は大きく変わった。AIは人間が行う日常的なタスクの自動化だけでなく、複雑なタスクの処理もできるようになってきている。近年ではAIが記事の執筆にも挑戦しているほどだ。今回は、AIに記事を丸ごと執筆させるとどうなるのか検証し、記者の仕事がAIに奪われる可能性があるか試してみた。

photo 執筆支援サービス「Notion AI」登場

ジャーナリズムにおけるAIの台頭

 AIによる記事の自動生成はますます注目を集めている。記事生成AIは過去のデータから記事を生成できる。多くのメディア企業がAIを採用する一方で、ジャーナリズムの専門家たちは、AIによって人々が真実から遠ざかることを懸念している。

ジャーナリズムにおけるAIの限界

 AIは、記事の執筆において一定の役割を果たすことができるが、まだ完全に自律的に記事を書くことはできない。AIが持つ最大の制約は、記事に感情や人間的な洞察力を反映できない点だ。AIは過去のデータに基づいて記事を生成できるが、感情の細部を捉えた記事を書けない。AIはまだ人間の記者の仕事を完全に奪うことはできないといえる。

AI時代のジャーナリズムの行方

 AI技術は、ジャーナリズムの世界でますます重要な役割を果たすようになっている。AIは記事執筆の自動化という形で、ジャーナリストの仕事を補助できる。AIによる記事生成を使えば大量のデータを処理できるため、ジャーナリストたちが時間を節約できる。一方で、AIによる記事生成がますます普及するにつれ、人間の記者たちは、感情的な細部を捉えた記事の執筆など、AIができないことに注力することが求められるようになるかもしない。

ここまで全部AIでした 過去最高の品質

 ──と、ここまで全てAIが生成した文章だ。冒頭だけは筆者の文章だと思った人もいるかもしれないが、この前振りもAI作だ。言い回しや表記法などは人間が編集を加えているが、文章の流れや主張の内容はそのままにしている。

photo Notion AIで本文を作成し、人間(筆者)が編集

 今回使ったのは米Notionが2月23日に公開したライティング補助機能「Notion AI」だ。コマンドでAIを呼び出し、記事のテーマを指定すれば記事を丸ごと執筆できる。他にも文章改善、文法修正、論調の変更などの機能も備えている。利用料は月額10ドル。

 今回生成した記事は、文章こそ完璧とはいえないが主張は面白い。内容を要約すると「AIはまだ感情を文章に反映できないため、人間の記者の仕事を完全に奪えない。しかし、今後普及するなら、人間は人間にしかできないことに注力するのがいい」だ。この「人間はAIで代用できない部分で勝負しよう」というのはたまに聞く話ではある。

 筆者はこれまで、「AIのべりすと」や「ChatGPT」といった文章生成AIを幾つも触ってきたが、コラム記事を執筆するという点においてはNotion AIが最も高品質だと感じた。

 上記の記事を、ITmedia NEWSの編集長に見せたところ、以下のような評価が得られた。

 「2段落目からAIの文章だというのが分かりにくいです……って思ったら1段落からAIだった。マジか。あ、さすがに多少の手直しはしているか。でもすごい。私はAI記事の限界は『今と未来を書くこと』だと思っているけど、確かに『AIに共感できるか』というのも大事な視点と気付かされました」(編集長)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.