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農水省のSNS、怪人がジャック 「シャケを食え」 スーパー戦隊のギャグに便乗

» 2023年03月07日 14時29分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 3月7日、農林水産省の公式Twitterアカウントが怪人「サモーン・シャケキスタンチン」に乗っ取られた。怪人は「3月7日! 今日は魚の日だ! シャケを食え!」などを発信。国民に鮭の消費を呼び掛けている。──農水省のアカウントで起きたことをもっともらしく報じるならこんな感じだろうか。

 種明かしをする。農林水産省の公式Twitterアカウントは3月7日、2018年に放送された特撮ドラマ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(ルパパト)のキャラクター「サモーン・シャケキスタンチン」を起用し、鮭の消費を促すプロモーションを行った。投稿は午後1時時点で約3万リツイート、3万3000いいねを集めている。ルパパトファンからは「サモーンが農水省を乗っ取った」などと面白がる声も出ている。

photo 3月7日のTwitterトレンド

 サモーンは、ドラマに登場する怪人の組織「ギャングラー」の一員。人々にあの手この手でひたすら鮭を食べさせようとする“怪人ギャング”だ。ただ、全51話中1エピソードしか登場しないし、劇中で特別な扱いをされているわけでもない。にもかかわらず、7日には「サモーン」がTwitterトレンド入りしており、反響は大きい。

photo サモーン・シャケキスタンチン(農水省の投稿から引用)

 実は、サモーンは“戦隊ファン”の中でも、現実社会での影響力が大きいキャラクターとして知られている。サモーンには名ぜりふがあり、SNSで大きく流行したからだ。その名ぜりふとは「クリスマスにはシャケを食え」。

 サモーンが登場したエピソードはクリスマスの設定だ。人々がチキンを食べたがる中、サモーンが安い鮭を提供したり、鶏肉を強奪したりして、鮭を食べさせようとするコミカルなエピソードだった。当時、ルパパトのストーリーは終盤を迎え、佳境に差し掛かる局面。にもかかわらず唐突にサモーンが現れ、視聴者にインパクトを与えた。

 その後、SNSでは「クリスマスにはシャケを食え」というせりふが流行。ハッシュタグなどとして拡散されるに至った。その影響か、ルパパトが終了した翌年以降もクリスマスの度にサモーンのせりふが流行する事態に。ファンからは「スーパーの店頭広告でサモーンのせりふを見かけた」という声があった他、SNSではハッシュタグに便乗する著名人や企業・団体の公式アカウントも出た。

 農水省のアカウントもその一つだ。同省はハッシュタグ「#クリスマスにはシャケを食え」を使って鮭の消費を促すツイートをよく投稿しており、ファンからはサモーンの影響を受けた公式アカウントとして知られていた。そんな農水省がついにサモーン本人を起用したことから、ファンが盛り上がっている──というのが事の顛末だ。

 ちなみに農水省には、有志の若手職員によるSNSを使った情報発信プロジェクト「BUZZ MUFF」が存在する。BUZZ MUFFでは職員自身がYouTuberとして情報を発信している他、Twitterなど各種SNSの運用なども担当しているという。

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