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» 2023年03月15日 08時00分 公開

腕の血を止めて操作するゲーム、立命館大が開発 血管を圧迫するとキャラが動くInnovative Tech

立命館大学の村尾研究室に所属する研究者らは、上腕を圧迫して血流を止めることでビデオゲーム制御を行う手法を提案した研究報告を発表した。

[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2

 立命館大学の村尾研究室に所属する研究者らが発表した論文「上腕の血流を止めて操作するゲーム」は、上腕を圧迫して血流を止めることでビデオゲーム制御を行う手法を提案した研究報告である。

 血管を圧迫して手の血流量を抑えている間はゲームのキャラクターが上方向に移動する横スクロールゲームなどで、その有用性を実証した。

腕を圧迫して操作する横スクロールゲーム

 この研究では、指先に装着する光電式脈波センサー(PPGセンサー)を使用し脈波を計測する。光を皮膚表面に照射し、体組織によって跳ね返ってきた反射光を計測する方法である。

 血液中のヘモグロビンは入射光を吸収する性質があり、脈波到達の瞬間は血液量が増大するため反射光が減少する。この現象を利用して、腕を圧迫して上腕から指先にかけての末端部分の血流量を減少させることで、光電式脈波センサーで取得する計測値を減少させる。この改変によって、入力が行えるというわけだ。

上腕圧迫時の指先脈波波形。上腕圧迫時は脈波センサーの計測値が小さくなる

 上腕を圧迫する入力方法を評価するため、ビデオゲーム操作で実験を行った。今回は、横スクロールゲームと早打ちシューティングゲームの2種類のゲームを実装した。

 横スクロールゲームは、上腕の圧迫制御で画面中のキャラクターを動かして敵を避けながらコインを集めるゲームである。キャラクターは圧迫状態で画面の上方向へ、未圧迫状態で画面の下方向へ移動する。

 早打ちシューティングゲームは、圧迫状態から未圧迫状態になるまでのタイムを競うゲームである。初めにプレイヤーは上腕を圧迫して圧迫状態にする。次に圧迫状態が検出されたときから1〜5秒のうちに的(りんご)が出現するので、的が出現すると同時に上腕圧迫をやめて的を打ちぬく。的が出てくるまでに圧迫を解除するとゲームアウトとなる。

早打ちシューティングゲーム

 これらのゲームを実際に実装し、展示を行い来場者にプレイしてもらった。机上には手形が設置してあり、ユーザーはその手形に手を置き中指に脈波センサーを取り付ける。後はゲームの内容に従い、脈波センサーを付けた上腕を反対の手で圧迫して操作する。

上腕の圧迫制御によりゲームを展示した様子

 アンケート結果では「思ったように動かないから難しい」や「難しいが面白い」といった回答が得られた。また、腕をむやみに抑えるよりも血管を的確に抑える方が効果が高いため、医療に精通したプレイヤーであれば血管の位置を理解しているので制御が容易にできるといった回答も得られた。

 横スクロールゲームのプレイ動画はこちらから、早打ちシューティングゲームのプレイ動画はこちらから確認できる。

Source and Image Credits: 水野悟朗, 蔵田直生, 吉田航輝, 村尾和哉. 上腕の血流を止めて操作するゲーム. 情報処理学会インタラクション2023



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