Payment Technology(東京都文京区)は3月15日、企業の給与デジタル払い導入をサポートするサービス「エニペイ」を発表した。従業員自らが、給与の振込先を5カ所まで設定でき、企業側の運営コストを抑えて導入できる。
4月に労働基準法施行規則が改正され、給与の振込先として、一般的な銀行口座以外に“ペイ事業者”などの資金移動業者の口座も選択できるようになる。外国人労働者やアルバイトなどの副業者からのニーズは大きいものの、定期的に給与を受け取っている人のニーズは微妙だ。
PaymentTechnologyの調査では、活用したいという人は7割にのぼったが、うち8割以上が銀行口座振込との併用を希望した。給与の一部を、頻繁に使うペイ払いに入金したいということだ。
「給料すべてをデジタルで受け取るというよりも、一部をデジタルで受け取りたいというのがニーズ。ならば、給料をそもそも振り分けるほうが早い。そのためにエニペイを作った」と同社の上野亨社長は狙いを話した。
エニペイでは、振込代行業者と連携し、銀行や資金移動業者など最大5カ所に給与を振り分ける。企業側の負担を軽減するため、従業員自らが振り分け先を設定する仕組みだ。
企業側は、従業員規模に応じて月額1万〜20万円程度の利用料を支払う。また1つ目の口座の振込手数料は企業側が負担するが、2つ目以降は従業員側が負担する。
給与デジタル払いは、4月1日に資金移動業者が申請可能になり、審査を経て許可された事業者だけが受け取り可能になる。エニペイでは、申請のあった事業者にはすべて対応していく考えだ。
現状、ペイ事業者への入金はスマホで数タップで実現できることから、給与デジタル払いが解禁されてもさほど便利にはならないのではという指摘もある。一方で、日本大学経済学部の安藤至大教授は「ペイ事業者への入金の手間暇を少しずつ削減できることが、生産性向上につながる。一人ひとりは小さくても日本全体では大きな効果がある」と意義を話した。
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