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「とにかくビットコインを持ってみて!」 “冬の時代“に仮想通貨ビジネスに乗り出すメルカリの狙い(1/3 ページ)

» 2023年03月24日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 メルカリが仮想通貨(暗号資産)取引に参入した。一方、現在は“仮想通貨冬の時代”だ。2022年はテラショック・セルシウスショック・FTXショックと、仮想通貨にとって大規模な事件が続き、年初4万ドルを超えていたビットコイン価格は60%以上下落した。

 こうした下落相場では、仮想通貨取引所のビジネスも順調とはいえず、特に小規模な取引所は苦戦している。

 そんな中、なぜメルカリは新たに仮想通貨取引に参入するのか。サービスを提供する子会社メルコインのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)である中村奎太氏に聞いた。

メルコインのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)である中村奎太氏

Web2とWeb3をつなぐゲートウェイが仮想通貨 差金決済はやらない

 まずメルカリが考える仮想通貨取引所は、トレードを行う場所ではない。

 「コアな人にトレードしてもらったり、投機として仮想通貨を扱う方向にはプロダクトを振っていない。そのため、差金決済も今のところ全くスコープに入っていない」と中村氏は言う。

 差金決済とは一般に「仮想通貨FX」と呼ばれるもので、証拠金を元手に何倍もの額の仮想通貨を取引するものだ。もともと仮想通貨は値動きが激しい上に、レバレッジをかけるため、まさに投機の手段となっていた。

 あくまで仮想通貨の現物を取り扱う。それは「Web2とWeb3をつなぐ入り口、ゲートウェイになるための場所が必要」(中村氏)だからだ。

 現状、仮想通貨取引所の多くは仮想通貨を購入して売却益を得るという投資の場として使われている。しかし、ブロックチェーンのアプリケーション――例えばNFTもそうだし、ブロックチェーンゲームなどを楽しむには、まず仮想通貨を入手する必要がある。普通のWebの世界と、Web3と呼ばれるブロックチェーンの世界をつなげる場所が仮想通貨取引所であり、「メルカリは仮想通貨と現金のゲートウェイの場所となっていきたい」と中村氏は言う。

 そのため仮想通貨市場の動向はほとんど意識していない。まずメルペイを立ち上げ、本人確認(KYC)も進んで、ついに仮想通貨参入の準備が整ってきた。そういう意味では、ベストなタイミングだという認識だ。

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