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「とにかくビットコインを持ってみて!」 “冬の時代“に仮想通貨ビジネスに乗り出すメルカリの狙い(2/3 ページ)

» 2023年03月24日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

「とにかく持ってみて」

 将来やってくるブロックチェーンを使ったWeb3の世界を見据えると、まずは仮想通貨に慣れてもらうことが重要だ。ところが、仮想通貨らしい使い方をしようとするといきなり難しくなる。

 例えばブロックチェーンのユースケースの一つであるNFTを考えてみよう。まず仮想通貨ウォレットを用意して、そこにどこからか仮想通貨を買って送金し、その仮想通貨でNFTを買う流れだ。「難易度が高くて、仮想通貨に関して理解を求められ、しかもミスりやすい」(中村氏)というのが現状だ。

 では、そうした難易度の高い仮想通貨に、どうやってマス層を取り込むのか。

 「ぼくらのアンサーは、とにかく持ってみて。ちょっとでいいから持ってみてというものだ」と中村氏は言う。

 そのために、売上金を1円からビットコインに替えられる仕組みを用意した。さらにはポイントでもビットコインを買える。あえて期間限定のポイントでもビットコインを買えるようにし、「1ポイントでも余っていたらビットコインにしようかと思ってもらいたい。そういうスタートから理解は進む」(中村氏)と考えている。

1ポイントからビットコインが買える

 普通の取引所であれば、アプリをダウンロードしてもらい、本人確認(KYC)をやってもらい、さらにお金を銀行から入金してもらって初めて取引が可能になる。ところが、メルカリの場合、すでにアプリをダウンロードしている人が4800万人いて、月間のアクティブユーザーが2000万人、そしてKYCも1200万人が完了している。さらに売上金やポイントも、最初から入っている。これ以上ないくらい、スタートのハードルを下げているわけだ。

 購入したビットコインは、「0.002BTC」といったビットコインの量ではなく、「7258円」のように円建てで表示する。これもユーザーテストの結果、仮想通貨を難しく感じさせないための工夫だ。「(仮想通貨に慣れている)僕らからすると、感覚は大分違う。でも、何ビットコイン持っているかということさえ、分かりづらさを助長する」(中村氏)

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