われわれのようなライターと呼ばれるモノカキは、日頃から何らかのテーマに対して、調べたり取材したり実験したりした結果をまとめて文章に落とし込むという作業を行なっている。分からない事は検索してサイトを見つけ、中身を精読し、情報を抜き出したり整理したりしてまとめ、全体像を把握する。
これがチャットAIによる検索を使うと、「知る」というプロセスが逆になる。知りたいことを文書で入力すると、まず結果がサマリーとして返ってくる。「最新もの」と指定することで、古い情報に翻弄(ほんろう)されることも減る。つまりまとめや全体像が先に来るので、記事を書いて行く上でどういう順番がいいのかといった方向性が早く見つかる事になる。
またその根拠となるサイトのURLが表示され、根拠が確認できるのは大きい。情報の出所として、個人のまとめブログよりはメーカー公式や官公庁での公開データを根拠とすべきであり、またAIの回答が正しいかどうかを人間がチェックできる機能は、今のところ必須だろう。
英文の記事の翻訳に使えるかと期待したのだが、Bingは著作権のあるコンテンツの翻訳はできないとしている。しかしDeepLやGoogle翻訳拡張機能などは、著作権で保護された英文記事の選択箇所やページ全体を翻訳させることができる。
Bingが著作権のあるコンテンツに対してこうした対応を行なっている事は、昨今のAIのトレンドからすれば厳しすぎるように感じる。個人的な利用や理解を助けるための翻訳であれば、米国流に言えばフェアユースであり、日本流に言えば私的複製にかかる権利制限規定の範囲のはずだ。
ただその一方で、翻訳結果を公開したり、スクリーンショットを掲載したりすることは、今後問題になるだろう。翻訳された先の利用まではAIのUIで管理することはできず、先に手を打ったという事かもしれない。
こうした著作権による翻訳の停止は、「翻訳して」というリクエストに対して慎重になっているように見える。URLを提示して、「内容をまとめて」とリクエストすると、翻訳してサマリーを返してくれる。そのまま1対1の「対訳」はできないが、内容を「サマる」ことに関しては問題ないと考えているようだ。
Bingチャットは、ChatGPTのような汎用性を持つものではなく、あくまでも検索機能に特化したAIとしてチューニングされているように見える。
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