「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。この連載では、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマをリポートします。
昨年の11月末、Model 3で横浜から長崎の往復3000kmの旅をしてきました。前編「EV旅の秘訣は“満タン主義“との決別 テスラで『往復3000kmドライブ』」では、長崎までの往路の様子をお伝えしました。本稿では、旅の主目的である、潜伏キリシタンゆかりの地巡りや復路におけるModel 3の運行状況を充電を中心にお伝えします。
前編同様「充電」という視点から結論を先に述べると、横浜までの帰路では、途中、岡山の実家で一泊しましたが、実家に普通充電の設備がなかったこともあり、合計5回の経路充電を行いました。そのうちスーパーチャージャーでの充電は1回です。復路ではあえて、1セッション30分制限が課せられ充電速度も遅い公共のCHAdeMO充電器を使うようにしました。結果的に、充電の時間制限がなく高出力のスーパーチャージャーのありがたみをしみじみと感じた1300kmの復路でした。
長崎滞在の3日間は、怒濤のように過ぎていきました。徒歩での長崎市内巡りと軍艦島ツアーから始まり、Model 3を駆っての平戸島、生月島方面の潜伏キリシタンゆかりの地やカトリック教会巡り、遠藤周作『沈黙』の舞台となった外海地区回遊などでは、ホテル駐車場のTesla専用充電器のおかげで、結果的に経路充電を行う必要はなく、快適な体験と素敵な思い出を残すことができました。
今回、EVを利用した旅に目的地充電が欠かせないことを再認識させられました。朝、目覚めたら充電が完了しているわけですから、その安心感と快適性は言いようのない歓びです。サービスエリア(SA)など経路上の急速充電インフラが、EVにとって必要な要素であることは、多く知られていますが、それと同時に宿泊施設や長時間滞在施設における、滞在型の充電設備の重要性にも着目してください。
急速充電設備の場合、設置コストは数百から数千万円、高圧受電、管理者の配置など、運用コストも高額になると言われていますが、目的地充電は急速充電である必要ないのです。200Vの普通充電でも完璧とは言えないまでも有用です。仮に、1日の旅程が300km以内で、宿に普通充電器が設置されていれば、翌朝は一定容量の充電が完了した状態で出発できるわけですから、場合によっては経路上の急速充電は不要です。
実際、今回の長崎周辺の観光では、長崎市のホテルを拠点として合計で四百数十kmを走りましたが、経路充電は行いませんでした。宿に帰れば充電できる安心感は何物にも代えがたいものです。
長崎周辺の回遊については、写真とキャプションでサラッと紹介しましょう。
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