ITmedia NEWS > 速報 >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

ジム・ケラーの新会社が日本上陸 AMD、Apple、Intelを渡り歩いた天才の技術でプロセッサをデザイン

» 2023年03月28日 14時30分 公開
[ITmedia]

 AMD、Apple、Intelと、米大手IT企業を渡り歩きプロセッサの開発を手掛けてきた天才、ジム・ケラー氏の設立した会社・カナダTenstorrentが、日本に上陸した。AIフィーバーの真っただ中ともいえる日本市場で、AI用プロセッサ・RISC-Vプロセッサに関する事業を展開していく。

photo Tenstorrentのジム・ケラーCEO、テンストレント・ジャパンの中野守代表取締役社長

 Tenstorrentは2016年設立のスタートアップ。しかし、CEOのジム・ケラー氏だけでなく、CCO(最高顧客責任者)もレノボ・ジャパンやNECパーソナルコンピュータの社長を歴任してきたデビット・ベネット氏と豪華な面々だ。日本法人のテンストレント・ジャパンは1月18日に設立。代表取締役社長にはこれまでHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)業界で実績を積んできた中野守氏が就任した。

 テンストレント・ジャパンの主な事業はプロセッサのデザインだ。同社ではディープラーニングなどのAI技術に特化したサーバや拡張ボードといったハードウェアを販売する他、オープンソースの命令セット「RISC-V」ベースのプロセッサやチップセットを顧客のニーズに合わせて設計し、IPとして提供していく。

photo TenstorrentのAI用プロセッサ

 現在、AI開発においてはGPUがアクセラレータ(高速化パーツ)として使われている。CPUに加えてGPUを使うことで学習や推論などの処理を高速化できる。テンストレント・ジャパンはこのアクセラレータとして独自のデバイスを提供するのが事業の一つだ。

 中野社長は3月28日の事業説明会で、「米国に次いで日本を市場開拓の場所にする」と意気込みを見せた。活用例としては自動車業界を挙げた。車載デバイス上でリアルタイムにAIを運用する場合や、データセンターにおける学習やアプリケーションなどの処理にテンストレント・ジャパンの技術を生かせるとしている。

 今後はプロセッサの高性能化と小型化などに向けて開発を続けるとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.